繊維ニュース

クラボウ 独自技術で価値追求

2025年02月26日 (水曜日)

 クラボウの繊維事業は、独自技術による差別化素材の販売比率を高めている。今期(2025年3月期)が最終年度となる3カ年の中期経営計画で掲げた、販売比率のKPI(重要業績評価指標)に対し、繊維事業部長の北畠篤取締役専務執行役員は「ほぼ達成できる」と話す。

次期中計に向けても、独自技術で「突き詰めた付加価値」を追求しながら「クラボウから買う理由」をより明確にする。

 独自技術による差別化素材として、原綿改質の機能綿糸「ネイテック」をはじめ、裁断片などを独自の開繊・反毛技術で再資源化する「ループラス」、羽毛代替となる中わた材「エアーフレイク」など展開。販売比率の具体的な数値は非公表だが、18年から目標を設定し、現中計で目標とする数値の達成が見えてきた。

 第3四半期(24年4~12月期)では、糸の売上高が前年同期比15・9%増の137億円と堅調。中でもネイテック糸がけん引した。同糸は綿100%でありながらも素材の風合いを損なわず「吸湿発熱」「吸放湿」「消臭」「UV遮蔽」といった機能を付与できる。「オールシーズンへの提案が可能」な点からインナーだけでなく、寝装や靴下、パンツなど用途が広がった。

 インドネシア紡織子会社のクラボウ・マヌンガル・テキスタイル(クマテックス)ではネイテック増産のために、奇麗な糸を生産できるコンパクト糸の紡績機を増設。現在「フル稼働となっている」と言う。

 製品では暑熱リスク・体調管理システム「スマートフィット」の販売が堅調。スマホレス型ウオッチの販売や、「体力特性」「暑さ特性」など5項目を数値で確認できる見える化が「導入のきっかけになっている」。大手企業への採用も増え、売り上げは前期に比べ3倍増えた。

 次期中計に向けては「技術の掛け合わせ」も強化。安城工場(愛知県安城市)にあるテキスタイルイノベーションセンター(TIC)の機能を生かし、織り、編み、加工、縫製まで含め、QRで開発できるチームの構築も検討する。