大長 「近江晒」好調続く
2023年12月25日 (月曜日)
湖東麻織物産地の染色加工場、大長(滋賀県東近江市)は、24春夏向けの繁忙期を迎えてフル稼働が続いており、2024年4月期決算は前期比増収増益を見込む。
フル稼働を支えるのは、生機を繰り返しもみ込むことにより、洗いざらし風のシワ形状と膨らみのあるソフト感を表現した「近江晒」加工。10年以上前から右肩上がりで受注を伸ばしており、近年は認知度向上に伴ってさらに受注が拡大、完全に同社を代表する加工に成長した。
綿100%への加工が多いが、麻、シルク、ナイロン混、他加工との組み合わせなどバリエーションも広がりを見せる。用途は主にレディースのシャツ、ブラウス、ワンピース、スカートなどで、メンズシャツ向けなどもある。昨今の表面変化素材トレンドも受注拡大の背景とみられる。
春夏向けが大半だが、秋冬物での採用も増えている。結果として、今年の夏場も途切れることなく受注が舞い込み、例年は閑散期であるはずが、フル稼働が続いた。この流れが24春夏向けでも継続している。生地商社からの加工依頼が多いが、海外向け梱包(こんぽう)が目に見えて増えていることから、生地商社経由の間接輸出が拡大していることも分かると言う。
同加工は複数の加工工程を経るため元々納期がかかる。現在は受注過多のためさらにかかる。プリント下地で1カ月半~2カ月、染めも含めるとさらにかかるが、「それでも(商社やアパレルは)待ってくれる」(大橋知史社長)。同加工を施した衣料品の店頭販売が好調なため、“ファン”になったアパレルからの直接指名や5年連続のリピートなどもあるという。
近江晒だけでなく、ハードな風合いや清涼感、光沢、反発性を出した「BR」加工、生地仕上げの段階で優しく叩きほぐすことにより洗いざらしの形状を付与する「CC」加工なども受注拡大が顕著。来年2月のイタリア「ミラノ・ウニカ」や5月に予定する東京での個展でこれら加工や新加工を披露する。