ダナックス/帝人の短納期システム「トップス」に取り組む
1999年09月06日 (月曜日)
裏地に強い染工場のダナックス(福井県、小田切雄二社長)は、帝人が展開する裏地素材の短納期システム「トップス(テイジン・オン・タイム・プロダクト・システム)」の取り組み参加企業の一つとして、重要な位置を占めている。真のQR(クイックレスポンス)が求めれる現況において、「さらに前向きに参画したい」(小田切社長)とする。
裏地は品ぞろえが要求されるビジネスだ。しかし、問屋では一般に資金負担の軽減を目的とした在庫の削減が目指されており、十分な在庫を持ちにくい状況も現れてきている。
一方で、縫製工場やアパレル側からは直前発注であっても、十分な数量の確保が要求される。こうした中で、「QR」が要請されるが、一般には「小ロット・短納期対応で生産者だけが非効率な部分を受け持たされる」という苦情が出ている。
こうした状況に対し、「トップス」は、染工場の工程予約システムで、ユーザーが、前月の十八日までに発注曜日・数量を連絡すると、帝人がその品番生産に必要な工程を協力工場に対し予約する仕組みとなっている。
このため、加工指図後の待ち時間を最小限にし、加工納期を短縮することができる。
「トップス」に加入しているのは、染工場ではダナックスのほか、徳永貿易や南通帝人。問屋では吉岡、栗本、アイテック、ジャルコ、丸孝、山宏、島田商事。商社では、伊藤忠商事、蝶理、丸紅となっている。
裏地定番品では七日、差別化品では十~十四日が納期で、紳士裏地、婦人裏地の両方で対応する。
「トップス」よりもさらに納期短縮を目指した「スーパートップス」の取り組みも稼働中。これは染工場がダナックス、問屋が吉岡、栗本の協力チームの体制となっており、定番品でも減量加工品でも納期は五日間に短縮されている。
「スーパートップス」では、数量予約時に前工程を開始することにより、差別化品でも納期を短縮したところがポイントになる。
もともと裏地は、商社、問屋と合繊メーカーとの取り組みの中で、必要在庫はキープしてあるものだ。こうした基本はあっても、より進んだ対応を求められるのが現在のテキスタイル業界である。
ダナックスは「トップス」取り組みについて、「一般には『QR』の非効率も押し付けられるケースがあるが、この『トップス』では生産から販売に携わるすべての人が趣旨を理解しており、その結果として顧客へのサービス、在庫の削減、一定生産量の確保などのメリットをそれぞれが享受している成功例と言える」と極めて肯定的に評価、「このシステムは物流も含め更に総合的な期間短縮、費用削減を図るべく、帝人を中心に当社も積極的に参画していきたい」としている。