伊藤忠繊維CO. 岡藤専務/ブランド、アパレル買収
2006年04月06日 (木曜日)
今期も200億円事業投資
伊藤忠商事繊維カンパニーは今期、「マーケティングカンパニー構想」を一段と進める。大型ブランドや優良アパレルメーカーのM&A(企業の合併・買収)などで、今期も200億円規模の事業投資を展開、マーケットを起点とするビジネスを広げて川下シフトをさらに強める。
マーケット発想一段と強める
「マーケティングカンパニー構想は不変」と就任3年目に入った岡藤正広専務繊維カンパニープレジデントは、今期もマーケットからの発想に基づいたビジネスを精力的に進める方針だ。大型ブランドや優良アパレルのM&Aなどへの積極的な事業投資が、その大きな柱となる。
4月から新展開を始める「フィラ」のマスターライセンシー契約や、英国の持ち株会社へ約40%出資した「ポールスミス」、米国のブランドサイエンス社と共同で米カジュアルバッグブランドの「レスポートサック」買収などで、同社は前期、ブランド獲得や優良アパレルの買収に200億円規模の事業投資を行った。
繊維カンパニーは、投資の手法として初めに予算枠を決めて事業投資を行っているわけではない。しかし、岡藤専務は「すでに計画に上がっている案件だけでも約150億円、最終的には200億円くらいになるのでは……」と今期も優良案件に対して事業投資を積極的に進める計画を明かす。
同社にとって今期は、かねてから目標に掲げてきた連結純利益200億円の大台を達成するための助走期間となる重要な1年だ。岡藤専務は「07年度にも200億円は達成できる」と自信を見せる。その根拠は、プレジデント就任からの2年間で手がけてきた事業投資など新規事業が、収益事業として花開く時期にきていることにある。
同社の連結純利益は05年3月期に147億円と最高益を更新し、前3月期も同水準となった模様だ。今期はこれまでに投資してきた新規事業の展開で約20億円の増益を見込む。さらに来期は前期に投資したフィラやポールスミス、レスポートサックなどが増益に貢献し、20億円程度は上積みできるめどが立っていると言う。岡藤専務は今期の積極的な投資で上積み幅を10億円以上広げることは十分に可能だと大台達成へのプロセスを説明する。
事業投資とも関連した今期の川下シフトのポイントを、岡藤専務は「課題は生産」とし、マーケット発想による「モノ作り」「生産」を重視する姿勢を強調する。顧客に対して出資やブランド契約などでパートナーシップを深め、これまでにない市場ニーズを中心としたOEM(相手先ブランドによる生産)事業の仕組みを新たに構築していく。生産力強化の対策として、専門商社との連携なども視野に入れる。