第2回 ジャパン・ヤーン・フェア/差別化は糸から始まる(8)化合繊1(1)
2005年02月18日 (金曜日)
今回初めてJYに出展したオーミケンシは、豊富な機能性レーヨン素材を展示し、人々の注目を引いた。とくに目玉となったのは「97・6・(華氏キュー・ナナ・ロク)」。実際、レギュラー素材とその機能素材と違いを体感できるように実験機材を用意した。
同素材は繊維に、ある温度で固体→液体→固体……の状態を繰り返す相変化(固体から液体さらに気化する変化のこと)を伴う物質PCM(フェーズ・チェンジ・マテリアル)を練り込んだレーヨン。このPCMの持つ性質を生かし、繊維周囲の温度を調節する機能が同素材の一番の特徴だ。
ひんやりした実験機材の上に97・6・の生地とレギュラー生地を置き、手を押し当てると、レギュラー生地が急激に冷たくなるのに対し、97・6・はじわじわと冷たくなっていくのが分かる。実験に参加した来場者は感心した様子で、出展者の説明を熱心に聞き入る場面が多く見られた。
また、クラボウとのコラボレーション素材で中空糸「スピンエアー」タイプのキチン・キトサン練り込みレーヨン「クラビオン」30%・綿混素材や、トスコとのコラボレーション素材ではクラビオン30%・リネン混素材も展示。「この2年で他社との取り組みも進んできた」(岩切直彦繊維統括事業部原糸販売部次長)と、他社の紡績技術も借りることで、機能レーヨンを一層市場に広げる考えだ。
モリリンは、クラボウと共同開発したバンブーレーヨン「凛竹」をベースに、様々な原糸を開発、綿とバンブーレーヨンの中空糸「凛竹スピンエアー」、ウールをバンブーレーヨンで包み込んだ二層構造糸「凛竹ルナファ」、バンブー混のコンピュータースラブで表情をつけた「凛竹ウェイビー・マジック」の3種類を打ち出した。いずれもアウター用途を想定する。
そのモリリンからリヨセルの供給を受けるユニチカは、昔から定評のある二層構造糸「パルパー」タイプで芯にウール、鞘にリヨセル使った「エスファーR」を開発した。また同じパルパータイプで芯にポリ乳酸(PLA)による生分解性繊維「テラマック」を使った原糸も披露。綿で包み込むことで「テラマックのピリング性や耐熱性の弱さを抑制し、加工で使いやすい」(彦坂芳郎テキスタイル営業部原糸G課長)素材に仕上がった。
「リヨセルKF」は原綿を架橋処理することでフィブリルを抑制した原糸だ。レギュラータイプとの生地比較(20回洗濯の場合)ではその差がはっきり分かるよう生地見本も用意した。ノンホルマリン対応であることから環境にも配慮した素材としてアピールする。