PTT繊維/どこまで伸びるか
2004年10月14日 (木曜日)
ソロテックスとオペロンテックス
レディース美脚パンツの大ヒットを受けて、それがメンズにも飛び火。そのシルエットを表現するにはストレッチ素材が欠かせない。かつては伸縮性の代名詞だったスパンデックスに加え、PTT繊維もストレッチ分野に参入して2年。衣料用では「最後の画期的合繊」と呼ばれるPTT繊維。同繊維を販売するソロテックスとオペロンテックスを追った。
相次ぐ増産、訴求方法には違い
日本でPTT繊維を生産するのは、帝人ファイバーと旭化成せんいの合弁によるソロテックスと、東レグループ。
先行したのは、02年に設立されたソロテックス。短繊維、モノフィラメント、複合糸など幅広い種類を持つ強みを押し出す。今年度は前年比倍増の2000トンの生産を計画し、「非常に順調に推移」(久保勝人社長)。
それに対する東レグループ。PTT繊維の生産は東レ本体だが、糸売りはデュポンとの折半出資のオペロンテックスが担う。現状は複合糸を1500トン生産し、来年から2500トン体制となる。オペロンテックスの高主秀一常務は「基礎的段階は終えた。計画以上の伸び」とこちらも手ごたえを感じている。
販売の順調さは両社変わらないが、訴求のスタンスは微妙に異なる。オペロンテックスは「ストレッチ・ソリューション」を掲げ、伸縮性を前面に押し出す。これは、PTT繊維複合糸「T‐400」のほかに、同社がスパンデックス販売の最大手であるためだ。両素材を「ライクラ」というストレッチブランドで括り、「要望に応じ、どちらでも供給する」(高主常務)立場だ。
一方、「ストレッチだけでの訴求は従来型」とソロテックスの久保社長。オペロンと競合するのは複合糸の部分のみのため、余裕が漂う。形態安定、染色性、ヤング率の低さ、柔らかな風合いなど「経糸としてのPTT繊維の総合的長所を訴える」(同)。
ソロテックスが販売する用途は、アウター、スポーツ・インナー、裏地など衣料が80%を占める。衣料に限ると、同社のPTT繊維は世界シェア1位だという。オペロンもジーンズやチノパンなど、衣料が大半を占める。
両社とも「PTT繊維を互いで育てたい」と口をそろえる。東レは2500トン体制への移行後も、さらに1000トン規模での増設を検討している。ソロテックスも来月には来期の生産量を明らかにするが、増産が確実視されている。
高主常務は「PTT繊維ほど、日本の加工技術を生かせるものはない」と断言する。久保社長も「用途に合わせた開発が最重要」。今後は、いかにこの繊維の魅力を引き出すかにかかる。