積極投資でコスト削減/インドネシア 帝人、東レグループ
2004年10月12日 (火曜日)
新規商材への挑戦も進む
【ジャカルタ=安藤晃】ここ3年厳しい環境を乗り越えてきたインドネシアの日系企業間で、撤退組と勝ち残り組の差がはっきりと出始めている。勝ち組の帝人や東レグループでは、思い切った投資によるコスト合理化、新規商材への挑戦が目立つ。
〈東レグループ〉
インドネシア東レグループ繊維主要5社では、2001年に4000人だった人員が今年度末には2800人になる見込みだ。大幅な人員削減でコストを下げた。
ポリエステル・綿混紡織・染のセンテックスは今年度経常利益の黒字浮上を確定させた。天然ガス発電設備に5億円を投じることを決め、11月に着工、05年3月に完了する計画だ。エネルギーコスト削減を徹底し、黒字の定着を図る。
アクリル紡織のアクテムは赤字が続くものの、東レ・トレロン課との連携商いのシェアを現状の25%から50%に倍増させ、ビジネスを安定させるほか、特品化率向上などで来年度に黒字化が可能だとする。撤退するインドネシア旭化成の商権を取り込む可能性もある。
合繊メーカーであるITSでは、ポリエステル長繊維事業の赤字が残っているが、「これもスーパーブライト化、モノフィラメント化などをてこに黒字浮上できる」(杉本征宏社長)。これらの黒字化で東レグループ全体としても大幅に水面浮上し、「ニューバリュークリエーターへの転換がさらに進む」とする。
〈帝人のTIFICO〉
帝人のTIFICOは、2年前2000人だった人員を今年度末で1200人強にする。「リストラは単純な人減らし策とは違う。過剰人員は減らすが、これからは利益ある成長へと向かう」(石田正夫社長)という。
04年12月期は売上高2億6000万ドルを予想。経常利益は200万ドルの赤字となる見込みだ。人員削減での退職金300万ドルを処理するため。
05年は前年並みの売上高で600万ドルの利益、06年は売上高3億ドル、利益1500万ドルと向上し、「08年には売上高3億7000万ドル、利益2500万ドル以上」(同)という明るい展望を示す。
ポリエステル長繊維は、旧式のFOY設備を半減させる一方でPOY、DTY設備を増強する。ハイマルチ糸、ストレッチヤーン(「エスビロン」タイプ)、「ニューストラキス」(「ミルパ」タイプ)など特化品を強化する。
ポリエステル短繊維では、現状の日産340トンを重合段階から増設し、520トンにする計画を具体的に検討し始めた。今年初めて取り組む不織布用ショートカットファイバーでは、米国の製紙メーカー、フィルターメーカー向けの営業活動を積極化させる。
石炭ボイラーに3億円投資したのに続いて、石炭発電に20億円を投資し、05年末に完成、稼働させる計画。