個性光る原糸群(47)「マナード」(東洋紡)
2004年06月10日 (木曜日)
世界唯一の長短複合混繊糸
世界初で唯一のフィラメントとステープルの混繊複合糸「マナード」は、原糸のブランド名でなく、どちらかと言えば紡績法の名称だという。しかし、「一部、マナードブランドとして糸売りをしているかもしれない」(テキスタイル商品開発センター・谷田光雄部長)と、東洋紡自身も把握していないほど、繊維業界の人にとって名の通った呼称になっている。
連続したフィラメントを精紡機ローラーパート部に取り付けられた高電圧開繊装置で開繊し、一方のバックローラーから供給された粗糸を、フロントローラー部で重ね合わせ(混繊し)た後、撚りを加えてできた原糸がマナード糸だ。
ステープルとマルチフィラメントを混繊するため、毛羽が少なく糸均整度が安定、高強力で耐摩耗性、高ピリング性、洗濯耐久性など優れた点が多い。また、比較的太繊度のステープルでも細番手糸の紡出が可能、適用可能繊維(ステープル)範囲が広いことから綿・ポリエステル混繊を中心にさまざまな原料の組み合わせもできる。
混率は、フィラメントで最大70%まで。フィラメントの混率が上がるほど物性面で強力が出て、風合いも変化する。
マナードの誕生からすでに30年以上経った。その技術は「他社がまねしようとしたが、まねしきれなかったようだ」と、今も色あせない。
基本データ
素材:短繊維(綿、スフなど)、長繊維(ポリエステル、ナイロンなど)
展開番手:10S~80S(一般的には30S~50Sが多い)
価格:通常の綿・ポリエステル混糸の1.5倍程度
用途:ユニフォーム、インナー、スポーツシャツ、トーブ、ミシン糸など
備考:精紡交撚の「セレクト」技術や、二層構造糸などとの技術の複合化も可能