東洋紡/シノンから撤退

2004年05月28日 (金曜日)

辻井常務 「役割終える」

 東洋紡は牛乳たんぱくを原料とするプロミックス繊維「シノン」から事業撤退した。すでに、03年秋に生産休止していたが、流通在庫があり、顧客への影響を顧慮。公表を控えていたが、そのメドも付いたことから明らかにした。

 シノンは敦賀事業所(福井県敦賀市)に年産1000トンの生産設備を有していたが、この数年、段階的に縮小。直近では年200~300トンの能力に絞り込んでいた。

 同社の辻井大二郎常務はシノン撤退について「化合繊はいかに、天然繊維に近づけるかが目標。シノンの狙いであるシルク市場は縮小しており、代替素材としての存立は困難。シノンの役割は終わった」と述べた。

 シノンはアクリロニトリルと牛乳たんぱくを重合した繊維で、絹のような感触と美しい光沢が特徴。69年に事業化し、寝装品、和装、洋装品、インナーなどに生産販売していた。