工場探訪(下)東洋紡・庄川工場

2003年11月11日 (火曜日)

新使用規定 近く公表へ

 東に立山連峰を望む風光明媚な富山県射水郡と高岡市の間を流れる庄川。その庄川に隣接する形で、東洋紡の富山事業所庄川工場(富山県射水郡)がある。

 同工場は呉羽紡績の紡織、加工場としてスタートを切り、操業開始は1934年と歴史は長い。04年には70周年を迎えることになるが、99年に紡績部門を休止しており、現在は織布と染色加工のみ。織布工場と染色加工場は道を挟んで分かれている。

 同社は03年9月末に国内の綿紡織3工場を休止した。これに伴い、庄川工場のほか、富山県にある入善、井波を含めた3工場を一本化。一体運営を始めており、3工場を統括する富山事業所を10月1日付で新設している。

 生産面では庄川工場の織布部門で使用する糸の4割は細番手糸を生産する入善工場から、3割は複合糸の井波工場から供給を受けており、その面での連携は行われている。

 もちろん、それだけですべてを賄えるわけではなく、織布では市中から、加工では市中だけでなく、インドネシア、タイ関係会社からの生機調達も行っている。

 同社はかつて、国内に33~34の綿紡織工場を擁した。現在では富山事業所の3工場にまで集約したが、その一方で、インドネシア、タイの関係会社に技術移転や設備投資を行い、海外調達を始めており、その海外関係会社の生機と庄川の加工部門が連携も進んでいるようだ。

 同時に今年6月の国内3工場の閉鎖で、庄川工場は新たな役割も担っている。ユニフォーム・カジュアルなど厚地織物という新たなアイテムを手がけるようになったからだ。もともと、中近東向けのトーブやシャツ地など薄地織物の織布、加工を行っていた同工場が、厚地織物も開始。その結果、生産品種はトーブ用45%、シャツ地20%、ユニフォーム・カジュアル用25%、寝装用6%、婦人服地4%となっている。稼働もほぼフルに近い。

 もちろん、小ロット対応で切り替えが多いのが悩みの種。だが、これは日本の綿紡織業共通の課題。むしろ、大量生産販売の中国に打ち勝つ強みにもなる。

 もう一つの強みである開発力については、庄川工場にも拠点がある。天然繊維商品開発センターのテクノミルSチームがそれだ。複合織物や強撚織物などの開発を進めており、織布だけでなく、8台擁する液流染色機を活用した特化加工も行っている。