帝人ファイバー/コンジュゲート複合で実現

2003年11月07日 (金曜日)

梳毛調ポリエステル新素材

 帝人ファイバーは、梳毛調ポリエステル長繊維「スペイシル」を開発し、04秋冬物から織物の試販を始めた。「スペイシル」は、2種類の新規コンジュゲート糸使いの複合構造糸により、ウールの捲宿発現機構を再現し、ソフトな梳毛調の風合いとふくらみ、反発、ハリコシを持ちながら、ストレッチ機能を兼備する。

 「スペイシル」糸は、細繊度の低配合コンジュゲート糸(70T/24フィラメント)を鞘に、高反発のコンジュゲートストレッチ糸(60T/12フィラメント)を芯に用いた130Tの芯鞘構造糸。鞘糸は、自己伸長することによりランダムな捲縮を発現し、ソフトな梳毛調風合いを発現。更に、単糸の片側のみに、ウールのスケール(うろこ)に似た微細なクラックが入る。小結晶と低配合による染料吸着性能の向上、微細な複合捲縮構造に加え、クラックによる光の乱反射により、最高レベルの色の深みを実現した。芯糸との複合により、豊かなふくらみとストレッチ性も併せ持つ。

 従来の仮撚り技術や複合加工糸による梳毛調素材の弱点を解決するため、帝人ファイバーは、コンジュゲート技術によるランダム捲縮を持つ「トリクシオン」を01年に開発し、販売してきた。しかし、「トリクシオン」はその風合いから春夏用途が中心であり、秋冬用途に対応した素材が求められていた。

 「スペイシル」の用途は婦人スーツ、ジャケット、ボトム、ブラックフォーマル、紳士スーツ、ジャケット、スラックス。婦人ブラックフォーマル用織物から販売が先行する。シーズン当たりの販売計画量は、04秋冬3000疋、05春夏3000疋、05年秋冬1万疋。織物のアパレル入り価格は1メートル当たり1500~2000円(ダブル幅)。国内が先行するが、中国とタイのテキスタイル子会社でも織物の生産・加工を将来始める予定だ。