東洋紡FPI/総合的にファッションマーケティングを担う

2003年06月16日 (月曜日)

 東洋紡ファッションプラニングインターナショナル(=FPI、大野高嗣社長)は、コンサルティング、調査・分析/情報提供、マーチャンダイジング、店舗・環境開発、セールスプロモーション活動を行うファッションマーケティング総合企画会社である。「ジャパン・クリエーション(JC)」のプロモーション事業も展開し、産地での知名度も高い。また、ライフスタイルの変化に対応したマーケティングでデザイン的価値の高い商品を創造し、市場開拓を支援する。

5つの事業を柱に/戦略立案から店舗開発まで

 同社の設立は75年12月。第2次オイルショックで親会社の東洋紡が製販分離の機構改革を行ったことが会社設立に結び付いた。当時、プリント・意匠を行っていた部署と販促・素材開発の部署が半々の形で、100%子会社として外部に出たのがその始まりである。「製造にも販売にも属さないソフトビジネスの分離」(東洋紡FPI・阿間和明取締役)であった。

 当初は東洋紡からの委託業務が中心であった。しかし、現在は東洋紡関連の仕事は40%程度に下がっている。とくに東京オフィスはアパレルに対する商品企画の支援など、東洋紡の仕事のウエートは大阪本社よりも低い。現在の同社の業務には、大きく5つの柱がある。

 まず、「コンサルティング」。これは、企業戦略立案、新業態開発、コーポレート・アイデンティティ開発、ビジュアル・アイデンティティやブランド・アイデンティティの開発などである。

 「調査・分析/情報提供」は、市場調査、生活者調査・分析、ファッション情報提供、国内外の企業・デザイナーブランドの調査や分析、素材・デザイン・カラーなど各種情報提供がある。

 「マーチャンダイジング」は、ブランド開発、アパレル商品の企画、ファブリケーション企画、生活関連商品の企画立案。アパレル商品の企画では、デザイン立案からパターン、サンプルメーキング、効果的な販売戦略の整備まで、新規アパレル商品の開発をトータルに支援・運営する。ファブリケーション企画とは、シーズントレンドを把握した的確なファブリックの企画・開発業務だ。

 「店舗開発・環境開発」は、海外ショップデザイナーを起用した店舗開発からショールームデザイン、売り場演出・ディスプレー・POPなどがある。「セールスプロモーション」では、広告宣伝、各種販促印刷物の企画・制作、ファッションショー、展示会の企画運営、各種イベントのプロデュースを行う。最近はCD―ROM制作など新媒体提案によるプレゼンテーション用ツールも手掛ける。

東京はFBを重視/川底産業という位置付け

 長期にわたる繊維不況で、企画会社の対象企業はともすれば、異業種に広がっていく傾向がある。しかし、「東京オフィスは、繊維に絞った展開を重視。あくまでファッションビジネスに関わる分野を深耕していく」考えだ。

 発足以来、同社は糸の開発、テキスタイル開発が強かった。東京オフィスは現在、「テキスタイル開発の川中外部企業対応、アパレルの製品ビジネス支援、ジャパン・クリエーションのプロモートビジネス」が3本柱になっている。何でもではなく、事業分野の絞り込みを推進中だ。そうした選択と集中の中で、今後の事業強化分野を考えると、「繊維関連のマーチャンダイジング」を強化する方向にある。

 同社はJCが始まって以来、そのプロモーションを支援するビジネスを行ってきた。「単純なプロモーションなら企画・生産した後の業務。販売に向けた最後の部分である。しかし、JCのプロモーションビジネスは企画・生産の部分からタッチしてきた。このため、業界や各産地が見えている。そこには当社独自にアプローチする余地もあり、今後は川中企業支援に向けて様々な仕掛けを行っていきたい」という。

 「川上の原糸がわかり、産地のファブリケーションもわかり、ファッションビジネスにも通じる。川上、川中、川下という繊維の流れを一貫して理解するいわば川底産業」という位置付け。新繊維ビジョンが求める「素材から売り場まで繊維産業の生産・流通の全体に精通するスーパーコーディネーター」的な機能ともいえる。

 「日本の産地には、いい素材やアイデアがたくさんある。しかし、いくらいいモノ作りができる技術があっても、ソフトがなければマーケットに展開できない。そのためのサポートをすることが当社の役割」でもある。

 テキスタイルデザインから実際の製品企画、ファッション企画、また店舗企画や宣伝計画までサポート。しかも、マーチャンダイジングの強化により、テキスタイルの提案力がさらに増強されれば、東京オフィスにアパレルへの対応力はますます強くなる。大阪本社が異業種を開拓するにしても、東京オフィスは繊維のファッションビジネスにこだわることで、逆に強味が明確になる。「東京は軸足をずらさず、繊維に集中する」というのはそのためだ。

 全社で40人弱(東京12人)の規模に、プロフェッショナルの契約社員が10人という体制。繊維産業がハード重視からソフト重視へと転換しようとしている時代。同社が本当に活躍するのは、むしろこれからである。