メンズウエア特集/東洋紡/シワになりにくい綿100%VP加工の向上へ

2003年05月14日 (水曜日)

 東洋紡は、綿100%素材による形態安定(VP加工)シャツの品質向上をさらに図る。現在、百貨店や専門店向けに同社のVP加工を施したシャツは上代価格で6900円~8900円までが商品化されている。来春夏シーズンにかけてさらに1格上の高級ゾーンの用となる1万円以上の綿シャツ素材の取り組みを現在行っている。

現在、1万円を超える綿素材による形態安定シャツは市場に出回っていない。生産量としてはポリエステル綿混が多いが、綿の部分は確実に増えてきている。

百貨店を中心にした綿のVP加工シャツはシャツ大手のトミヤアパレルやダーバンなどとの取り組みが大きい。シャツ市場自体伸び悩んではいるが、百貨店売り場での綿VP加工シャツの扱い店舗は増えているという。着用者が着実に増加していることを裏付けている。同社では綿の素材特性から綿自体の、強度のある原糸開発と、加工面のレベルアップとの組み合わせでよりよい商材に仕上げる。また、年間を通じて販売できる商材としていく。

VP加工は綿本来の風合い、持ち味を損なわない。またクリーニングに出したとしても縮まないという加工特性を持つ。こうした合理性から欧米でも近年、同タイプのシャツを着るビジネスマンが増えているという。

藤井俊哉・東洋紡機能テキスタイル部シャツグループマネージャーの話

 「これまでのシャツは普通の細番手の綿素材がエグゼクティブクラスの人たちにも受けていた。しかし出張などの多いビジネスマンにとって夕方になってもシワになりにくい、しかも高級感のある綿シャツはできたらほしいものだ。形態安定性を付加することで解決できる。そこに新たな市場があると思っている。当社では高級ゾーンにおけるノーアイロンシャツを綿で実現し、綿分野でVP加工の一定の地位を築き、マーケットを広げていきたい」。