東レ/PABグループ4社を統合
2003年04月23日 (水曜日)
東レおよびそのマレーシア地域統括会社であるトーレ・マレーシア(略称TMI、岡部繁社長)は、ペンテキスタイルグループ4社を今年6月末に事業統合する。事業構造の体質強化や経営リスクへの対処がその狙い。この統合によってペンファブリック(PAB)は、各社で異なっていたブランドを「PENFABRIC」ブランドに統一する。
マレーシアの紡績事業
統合するのは、東レ100%子会社であるペンファブリック(PAB)社およびPABの100%子会社であるペンテックス(PTX)社、ウッダード・テキスタイル・ミルズ(WDD)社、ペントレー(PLY)社。統合後の存続会社をPAB社として、PTX、WDD、PLYの事業・要員・資産をPABに移管あるいは売却する。事業移管後の3社は清算手続きに入り、各社の行ってきた生産活動はそれぞれ工場として継続される。現在、ペンテキスタイルグループ4社の社長を兼務している土井英嗣TML副社長が、引き続き新しいPAB社の社長に就く。
ペンテキスタイルグループは、マレーシアのペナン州を拠点にして、ポリエステル綿混および綿織物事業を総合的に展開している。その司令塔でもあるPABは染色・プリント・加工仕上げを含む染色会社であり、傘下企業および東レグループからの調達による生機を加工、販売している。PTXは織布、WDDは紡織、PTXは先染め・織布および100%ポリステル縫糸の紡績を行っている。これらの会社の発祥はそれぞれ異なるが、近年では事実上一体的に運営されてきた。
間接部門の集約や重複業務の解消、統合的な生産システムやSCMの導入、4工場間での従業員の柔軟な配置による機動的な運営など、事業構造の体質強化を図って、事業統合を行うことになった。これまでは、外人労働者の雇用も各社ごとに申請・許可が必要であり、相互に融通することが出来なかった。事業統合により、グループ内取引に関わるマレーシア国内移転価格税制問題も回避できる。
統合後のPABの資本金は約8600万マレーシアリンギット(約26億円)、売上げ規模は約6億マレーシアリンギット(約180億円)になる。従業員は、統合時には現在より約150人少ない約2200人に減る。さらにその後1年をかけて100人、合計約250人を削減する。統合に伴う設備の変化は、当面計画に入っていない。
なお、ペンテキスタイルグループの現在の月産量は無地・プリントが1000万~1100万¥ヤード¥、先染めが170万~200万¥ヤード¥。長繊維交織やスパンデックス交織などの特殊品を含む多品種少量生産への傾斜によって生産量は抑えられている。
PABは、ポリエステル綿混定番生機では、その半分をインドネシアのイースタンテックスから調達。100%綿織物や特殊品の生機は、傘下企業やタイの東レグループ企業などから調達している。