東麗〈香港〉/樹脂接着縫製の量産開始/高価値商材として拡販
2025年04月22日 (火曜日)
【香港=岩下祐一】東レの香港法人で、編み物製衣類の縫製を手掛ける東麗〈香港〉(THK)が、樹脂接着を使った縫製の量産に乗り出した。独自の樹脂接着縫製技術を「ACROFUSE」(アクロフューズ)ブランドとして展開し、欧米新興ブランドの開拓を進めている。現状は編み物製衣類だけだが、織物製にも同技術を活用していく構想を持つ。
同社は2年前から、顧客への樹脂接着縫製の提案に着手し、2024年に量産を始めた。
同縫製は、生地に樹脂をドット状に塗工し、縫製する技術だ。これまでインナーの縫製で用いられることはあったが、同社は編み物製の中肉アウターにも対応する技術を確立した。主な特徴は、①縫製部分が編み物のストレッチ性を損なわず伸びる②製品の軽量化が図れる③いろいろな形に接着できる――の三つだ。「背中や肩甲骨に合わせて製品の形を丸くしたり、自由な形にできる」と舟橋輝郎社長は説明する。
同縫製は、OEM/ODMの双方の顧客に提案している。ODM事業では、樹脂接着縫製技術を「アクロフューズ」ブランドとして、最新技術に興味のある欧米の新興スポーツブランドに絞って提案している。「アクロフューズは量を求めるのではなく、価値の高さが評価される技術を目指す」(舟橋社長)と言う。欧米ブランド数社との取り組みを現在、拡大中だ。
OEM事業では、中国本土の地場スポーツブランドに同縫製を提案している。アウトドアウエアやゴルフウエアブランドへの採用が進んでいる。
今年は、同縫製のアップグレードに力を入れる。厚地の編み物製や、織物製の衣類の縫製でも活用できる技術を目指す。