大和紡績 中計初年度は好発進
2025年04月17日 (木曜日)
大和紡績の2024年度(25年3月期)連結業績は、前期比で増収増益になる見通しだ。合繊、産業資材、製品・テキスタイルの3事業がいずれも堅調で、有地邦彦社長は「中期経営計画の初年度として順調なスタートを切った」と話す。
IPO(新規株式上場)に向け「着実に業績を積み上げ、成長戦略を明確に示す」として、企業価値向上への体制強化を急ぐ。
合繊事業では、制汗シートやフェースマスクなど暑熱対策や衛生関連の需要が拡大。不採算の除菌シート向けなどから撤退し、構造改革を進めた。ダイワボウレーヨン製の高機能わたを活用したグループ連携も深化し、品質・納期対応の精度向上が顧客先からの信頼獲得につながった。
産業資材事業も、自動車・電気部品向けのゴム製品が堅調。電子部品向けフィルターは価格転嫁が進み、収益性が改善した。播磨研究所(兵庫県播磨町)を中心に高機能フィルターの開発と上市が本格化し、「若手の研究開発チームが着実に成果を上げている」(有地社長)。大阪・関西万博の需要も追い風となり、建築向けテント資材などの需要が伸びた。
製品・テキスタイル事業では、米国向け輸出が在庫調整の一巡を受けて急回復。インナーなど国内向けは価格転嫁に苦戦したが、グローバル市場での販売拡大が業績全体を下支えした。
レーヨン生産の益田工場(島根県益田市)では第4四半期(1~3月)に機械トラブルが発生し、一時操業率が低下。利益面に影響が出たが、それ以外は堅調に推移した。財務面では、同社に出資するアスパラントグループ(東京都港区)との連携が進み、バランスシートの改善も進んだ。
今期はインドネシアでのモノ作りを軸に、グローバル販売の拡大を継続する。設備投資計画を進めるとともに、「研究・生産・販売の連携を強化し、迅速な商品展開」を図る。オーガニックグロース(自社の経営資源による成長)に加え、企業連携やM&A(企業の合併・買収)も視野に入れ「企業価値の向上に取り組む」ことで、IPOの早期実現も目指す。