JYから見る糸の傾向⑦

2025年04月08日 (火曜日)

認知度向上へ生産体制発信

 今回の「ジャパン・ヤーン・フェア」では会社自体の認知度向上を狙う展示が多かった。生産体制や技術力、ノウハウといった強みを発信。繊維機器・システム関連企業も同様だ。

 初出展の帝人テクロス(愛知県稲沢市)は糸加工から糸染め、織布、編み立て、染色仕上げ(子会社の尾張整染=愛知県一宮市)までの一貫生産体制を持つ。一貫生産できる企業の出展は少なく、想定した以上に反響があった。展示した中では顔料染色、モノフィラ染色などへの関心が高かった。樹脂加工された椅子張り地のリサイクルも注目を集めた。

 2020年以来の出展となった大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、2、3、4インチ紡機を持ち、繊度、繊維長の異なる繊維原料を均等に混紡できるのが特徴だ。こうした独自技術をメインに打ち出し、来場者から注目を集めた。遮熱ポリエステル紡績糸やクールビズ対応の特殊ポリエステル短繊維3者混糸といった商材への関心も高かった。

 染色整理工場も独自の加工技術を披露した。岐センはポリエステルにシルクの風合いを付与できる新加工「シルクル」を提案。薄地向けをターゲットに据える。ナイロンへのコンパクト加工「バゼロ」シリーズからは、これまで以上にシワ感とコンパクト感を向上させた「スーパーバゼロ」を打ち出した。バゼロシリーズの加工数量は好調に推移する。

 機械関連各社からも多彩な提案が見られた。TMT神津(兵庫県三田市)はリワインダー「ワインディングマスター」を紹介した。19年から国内販売を始めた。JY出展を通じて尾州への販売は多いが、現在でも「初めて見た」との声もあるため今後も継続出展する。

 初出展の丸糸(名古屋市中区)は、糸商ながらも国内での独占販売権を取得したイスラエル製デジタル糸染め機「TwineX4」を初披露。中国、欧州で納入実績はあるが日本はまだない。小ロット対応できるため、アパレル用やカーシート用などの試作向けを狙う。

 コスモサミット(金沢市)は高度なIT技術を背景に繊維業特化型システムの販売を手掛けており、昨今は染工場や資材系の話が増えている。業務管理、生産管理、配台管理などの繊維業向けソリューション「テキサス」を訴求した。