不透明の時代に攻める 台湾大手トップに聞く②/興采グループ 陳国欽 董事長
2025年04月03日 (木曜日)
台湾で染色の新工場稼働
――興采(シンテックス)グループは、陳董事長が1989年に設立した台湾を代表する環境配慮型機能素材メーカーです。
グループは興采実業、聚紡、台湾神采時尚事業、ベトナム神采時尚事業の4社からなり、糸から生地、製品までを一貫展開しています。サステイナブルな機能素材の世界的メーカーを目指しています。
――生産体制の詳細は。
台湾・桃園の自社工場(敷地面積4万平方㍍)で、紡糸から織布・編み立て、染色、ラミネート加工まで手掛けています。昨年7月に染色加工の第2工場を新たに稼働し、染色加工ベースの月産能力を約137万㍍から約411万㍍に高めました。新工場の立ち上がりは順調で、今年1月からフル稼働が続いています。
――ベトナム生産は。
ベトナムでは、小規模な縫製工場を運営しています。当初は紡糸から染色加工までの一貫工場の建設を検討し、土地の購入も済ませました。しかし、当社が高級ゾーンに特化し、クイックレスポンスが求められ、難しい加工が必要であることなどを改めて考慮し、ベトナム投資を中止、台湾生産に集中する方針に切り替えました。
ベトナムの縫製工場の規模は、生産ライン七つ、工員300人です。製品一貫を求める一部顧客向けを手掛けています。1ラインは生産難度の高い圧着無縫製の製品に特化しています。今後も生産規模は拡大しません。
――顧客は欧米のアウトドアやスポーツブランドが中心です。顧客の地域別売上比率は。
欧州45%、北米45%、日本5%、その他アジア5%です。日本の顧客は、大手アウトドアとスポーツブランドです。
――アイテム別売上比率は。
糸10%、織物50%、編み物40%です。
――コーヒーかすをペットボトル由来の再生ポリエステルに分散させた独自機能素材「S.カフェ」の拡大に力を入れています。浸透していますか。
S.カフェの糸と生地に占める売り上げベースの割合は35%です。欧米顧客はS.カフェのタグを付けて製品を販売しています。伊藤忠グループのケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」と組み合わせた「レニュー×S.カフェ」も好調です。自社で紡糸した細番手の糸を使った薄くて、ストレッチ性の高い編み地が欧州スポーツブランドなどから引き合いを受けています。
――生産難度の高い独自素材が売りですね。
最近では、裏面に起毛加工を施した防風・撥水(はっすい)機能の織物「ストームフリース」などが売れています。これらはいずれもグローバルで特許を取得しており、他社は手掛けることができません。
――2024年の業績は。
前年比7%の増収でした。経済が厳しい欧州は減りましたが、米国向けが伸びました。米国向けは、ウインドブレーカー用途の3層構造の織物がけん引しました。
――今年の見通しは。
20%の増収を見込んでいます。新工場の稼働で生産スピードが高まり、品質が安定することが貢献します。