25年4月新卒採用を追う【上】/“自分らしく”働けるを重視/初任給は上昇傾向続く
2025年04月01日 (火曜日)
繊維関連の大手企業を対象に本紙が行った今年4月の全社ベースの新卒採用数は、回答を寄せた31社中16社で前年より増えた。繊維事業に限ると26社中10社で増加。総合職を基準とした初任給は回答のあった24社平均で前年比3・4%増となり、25万円台となった。人手不足が叫ばれ、新卒人材の獲得競争が激化する中で、“自分らしく”働ける環境を求める声にどのように対応していくかが課題になりつつある。(於保佑輔)
今年の新卒採用数は全体で前年より1・5%減少した。2024年(28社回答)が2割ほど増えていたのに対し、やや抑制傾向にある。計画に対する増減を聞いたところ、31社中19社が予定通りと回答。「多い」が3社、「少ない」が6社あった。
採用計画が「少ない」と回答した企業の多くはアパレルメーカーで、「人材獲得競争の激化による内定承諾率の低下」「就職活動の早期化に伴い、母集団形成や選考プロセスでのつなぎ止めが難しくなっている」といった声が聞かれた。
新卒採用の取り組みとして、多くの企業がインターンシップの開催回数を前年より増やした。伊藤忠商事は就職活動市場の早期化と政府の方針などを踏まえ、従来12~2月に行っていた5日間のインターンシップを3回に拡充。「より早期から学生との接点を創出」することに力を入れた。
一部のアパレルメーカーでは、服飾系の専門学校に協力を得て、数年ぶりに対面での説明会を開催。ワールドは北青山ビル(東京都港区)で新卒採用イベント「オープンカンパニー」を開催。単なる社内見学のみならず、ワークショップをはじめ、「社員と触れ合うことで将来働く先としての当社をイメージする重要な機会」につなげた。
初任給は昨年の回答(28社平均で24万6181円)に対し、今年の回答(24社平均で25万5527円)で増加しており、23年の23万台から急速に上昇している。伊藤忠商事は昨年30万5千円から今年32万5千円へ拡大。引き下げた企業は1社もなく、9社が据え置き、15社が引き上げた。
新卒採用者の3年以内の離職率を聞いたところ、31社の平均は11・3%だった。最も離職率の高い企業では40%に達していた。
離職率を下げるための取り組みとして「新入社員の個別育成・配置計画を策定。現業務の意味とキャリア方針を上司が丁寧に説明」(伊藤忠商事)、「説明会やイベントで働き方や処遇などの情報をよりリアルに伝え、何度も面談を行い双方のギャップをなくす」(スタイレム瀧定大阪)といった方法が挙げられた。
今年の新卒生の傾向としては「安定志向の高まり」(ワールド)を挙げる声が多かった。一方で、「自分の価値観に合った環境を重視し、主体的キャリア形成の志向を持った学生が多い」(伊藤忠商事)、「自己啓発やスキルアップ支援を望む学生が多く、キャリア展望への意識が高い」(商社)といった意見もあり、“自分らしく”働ける環境を求める傾向が一段と強まっているようだ。