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東レ 国産の新SBを発売

2025年03月28日 (金曜日)

 東レは27日、オレフィン系スパンボンド不織布(SB)「アートレイ」シリーズを4月から本格販売すると発表した。産業資材向けを中心に用途に応じた3タイプをそろえ、2026年度に10億円の売り上げを目指す。

 同社は海外子会社を主力にポリプロピレンSBを製造販売するが、国内生産品は紙おむつやマスクなどの高級ゾーン向け少量販売に限られており、国産オレフィン系SBの本格販売は初めてになる。

 アートレイはFN、HS、BCの3タイプからなり、いずれも17年に滋賀事業所(滋賀県大津市)に導入した独自のSB開発設備の技術を活用。量産も同設備で行う。

 FNはフラット加工を施したポリプロピレンSB。紙に似た風合いを持つ一方、破れにくく(引裂強力は紙の6倍)、紙粉が出ず、耐摩耗性に優れることから、包装材料やメディカル用途に適する。

 HSはかさ高性のあるポリプロピレンSBで、高い剛性、高通気量を備える。同社によると、一般的なポリプロピレンSBに比べて剛性は約5倍、通気量は約3倍。フィルター基材などの用途を狙う。

 BCは2成分の複合SB。芯部がポリエステル、鞘部がポリエチレンからなる芯鞘構造で、熱によって接着させるヒートシール性を持つ。ラミネート用基材や包装材料に適する。

 ポリプロピレンSBは紙おむつなど衛生材料向けが主力で、同社はアジア最大規模を持つ。日本、韓国、中国、インドネシア、インドに生産拠点があり「リブセン」ブランドで国内外に販売する。

 新開発のアートレイシリーズは衛生材料で培った技術や販売ネットワークも駆使しながら、産業用途向けで国内中心に拡販し、将来的にはニーズに応じて海外展開も視野に入れる。