繊維ニュース

衣料回収輪/組織の枠超え広がる/多様な業種・業界に浸透する廃棄物循環

2025年03月27日 (木曜日)

 衣料を含む廃棄物の循環が企業社会にも浸透してきており、取り組みの内容も多様性が増している。時には繊維産業、繊維関連企業と連携しながら、廃棄物の回収を促進するさまざまな企業の取り組みをまとめた。(強田裕史)

 丸紅グループの丸紅ケミックス(東京都千代田区)は、有機溶剤やウレタン原料など化学品全般を扱う商社。このほど同社が中心となり、廃棄物を有効活用することでプラスチック使用量の削減を目指すコンソーシアム「Do What We Can」を設立した。三菱ケミカルなどを含む29社が参画し、各社が得意とする加工技術や再生ノウハウを持ち寄ることで課題の解決を図る。

 計画では、企業や自治体から排出される食品の残りかす、間伐材、端材を粉砕し、樹脂や紙などと混錬して、さまざまな製品に成型するという循環スキームを描いている。繊維品も対象に含む。

 コンソーシアム設立の背景には、企業努力による廃プラスチックの削減量が頭打ちになっている現状があると言う。「1社でできないことはみんなでやろう」というスローガンには、業種の垣根を越えた取り組みで現状を打開する意思を込めた。

 ECOMMIT(鹿児島県薩摩川内市)は不要品の回収・選別・再流通を行う。〝循環商社〟を掲げ、幅広い業種の企業と、循環システムの構築、普及に取り組んでいる。

 最新の取り組みとして、LINEヤフーが運営するプロジェクト「サストモ」と連携し、自宅に眠る不要品を回収してモノ作りに生かすサービス「宅配PASSTO(パスト)」を開始した。

 サストモは、サステイナビリティーに関するニュースやアイデアを専用サイトなどで発信する。そのLINE公式アカウントに〝友だち追加〟すれば、不要品を自宅から無料で送ることができる。

 回収の対象はアクセサリー、小型家電、玩具などで、これら〝必須アイテム〟と衣料や生活雑貨の同梱(どうこん)も可能だ。利用者自身で段ボールに詰め、佐川急便の無料集荷を活用する。対象エリアは北海道、沖縄県、離島以外とする。

 東急不動産ホールディングスグループの東急不動産(東京都渋谷区)など3社は、自社で運営・管理する施設で、衣料・雑貨の回収ボックスを設置した。繊維製品の回収を手掛けるBPLab(東京都港区)とブックオフコーポレーション(神奈川県相模原市)による衣料・雑貨回収サービス「R―LOOP」に参画する形で、取り組みを開始した。

 同社グループの営業所や事務所のほか、保有・管理するオフィスビルやマンションの共用部、リゾート施設に回収ボックスを置いた。生活のさまざまな場面でも、資源循環の意識を持ち続けることを呼び掛けている。