ごえんぼう
2025年03月26日 (水曜日)
ビジネスシーンで、手土産や贈り物は今も重宝される。中でも特別感のあるものは、相手の心を鷲づかみにする▼伊藤忠商事の岡藤正広会長CEOは、手土産をうまく使うとされる。秘書が贈り物の基本的なプランを作り、それをチェックし一人一人の顔を思い浮かべながら品物を定める▼昨夏の令和の米騒動で店頭から米が消えた際には、子会社の伊藤忠食糧が扱っている米を贈った。米がなかった時期だけに、もらった人はみんな感謝した(野地秩嘉著『伊藤忠商人の心得』)▼大手インテリア小売チェーン「カーテン・じゅうたん王国」の会長を務めた故・森本宏明氏は、神戸市内の自店に、懇意になった市場の仲買人から買った明石のタコを常備して取引先などに振る舞った。店の敷地内にぬめりを落とすタコ専用の洗濯機も置いていた。手間を惜しまず、相手に喜んでもらいたい気持ちが人の心を捉えるのかもしれない。