東洋紡エムシー 2成分複合SBに参入
2025年03月25日 (火曜日)
東洋紡エムシーのスパンボンド営業ユニットは、新たに2成分複合スパンボンド不織布(SB)をラインアップに加える。高いシェアを持つ競合他社の事業再編によって需要家の間で安定供給への不安が高まっていることを受けて参入を決めた。既に開発を終えており、2025年度(26年3月期)から本格的に市場投入する。
繊維の芯にポリエステル、鞘にポリエチレンなどを配した2成分複合SBは熱接着性、撥水(はっすい)・親油性、通気性などに優れ、衛材や農業資材、包装資材など幅広い用途で底堅い需要があり、ユニチカの「エルベス」が市場で高いシェアを持つ。
ただ現在、ユニチカの不織布事業は再編対象となっていることから需要家の間では将来的な安定供給への不安が高まり、新たな調達先を求める動きが強まっていた。こうした動きを受けて、東洋紡エムシーは協力工場での委託生産によって新たに2成分複合SBの開発を進め、今回の参入を実現した。需要家が求める新たな調達先に名乗りを上げた形だ。今後、需要家との取り組みを進めながら、シェアの獲得を目指す。
また、25年度は土木資材用途を中心に機能性不織布製品の拡販にも力を入れる。その一つが重金属イオン捕集材「コスモフレッシュナノ」。重金属流出防止材として海面最終処分場でも採用されるなど実績が上がり始めた。今後、リニア中央新幹線の建設本格化などでトンネル工事が増加すれば、発生する残土の仮置き場から重金属の流出を防止するシートとしても需要拡大が見込めることから期待は大きい。