帝人フロンティア 生産増強で短カット拡販
2025年03月24日 (月曜日)
帝人フロンティアの産業資材部門短繊維素材本部は、ポリエステル短繊維のショートカットファイバー(短カットわた)の生産能力を増強したことを生かし、2025年度(26年3月期)は積極的な拡販に取り組む。
また、自動車関連用途はクッション材や吸音材で開発・提案を強化し、寝装用途は差別化わたの投入で需要の掘り起こしに取り組む。
堀田敏哉短繊維素材本部長によると、24年度のポリエステル短繊維や不織布原反販売は数量、売上高こそ堅調に推移したが、利益面が圧迫された。同社はタイ子会社のテイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)や協力関係にあるインドネシアのティフィコが生産を担っており、円安で円換算調達コストが大幅に上昇したため。
用途別では、ポリエステル短繊維は自動車関連用途が回復傾向となった。ショートカットファイバーは主力用途である膜支持体が北米市場で在庫調整局面となり上半期に苦戦したが、下半期から回復基調となり安定している。寝装用途は需要低迷が続く。不織布原反も自動車用途が安定していた。
25年度は、生産拠点であるTPLでショートカットファイバーの生産能力増強が完了することから、これを生かした拡販に取り組む。競合他社が事業再編によって先行き不透明となっていることから、代替需要の取り込みを進める考え。また、今回の設備投資で生産能力は約10%増えるが、堀田本部長は「拡販の状況によっては次の増設も検討しなければならない」と指摘する。
自動車用途はクッション材に力を入れる。縦型不織布「V―Lap」の生産を帝人揖斐川事業所(岐阜県神戸町)に集約し、自動車用途への特化を進める。特にカーシートのワディング材などでウレタン代替需要の開拓を進める。吸音材も成形可能なタイプの開発を進め、シェア拡大を狙う。寝装用途は中空8フィン断面ポリエステル短繊維「オクタエア」など差別化品の市場投入を進め、需要掘り起こしに努める。
また、ポリエステル短繊維は差別品への特化を進めたことで取り扱い数量が伸び悩んでいるのも課題。このため「商社機能を発揮し、TPLやティフィコ以外からの調達を拡大することで価格競争力のある商材をそろえ、量的拡大を目指す」との考えだ。