特集 ボディー&レッグファッション(3)/トリンプ・インターナショナル・ジャパン/アズ/フジボウアパレル/オグランジャパン/CharMii/ワコールホールディングス

2025年03月21日 (金曜日)

〈トリンプ・インターナショナル・ジャパン/ブラの新カテゴリー提案〉

 トリンプ・インターナショナル・ジャパンは、ブラジャーに新たなカテゴリーをつくる。ワイヤーブラ、ノンワイヤーブラに続く選択肢を提供することで新たな市場の構築を目指す。新カテゴリーは「ハイブリッドブラ」とし、代表ブランドを刷新した。ブランドアンバサダーとして俳優の菜々緒さんが登場する。

 同社は、バストの形に合わせてフィットするコンフォートワイヤーを採用したブラジャー「神わざブラ」を2024年の4月に発売した。フィット感や快適な着用感などが口コミで広がり、人気商品の一つに数えられるようになった。このコンフォートワイヤーを採用したブラジャーをハイブリッドブラに位置付ける。

 神わざブラは、新カテゴリーの立ち上げに合わせて「秘めわざ」に刷新した。食い込みレスで寄り添うようにフィットしながら楽に奇麗な胸をつくる。アウターに響きにくいスムースタイプも加えた。ハイキニショーツやヒップハンガーショーツなどもそろえる。

 新カテゴリーのコミュニケーション開始に合わせて、菜々緒さんをブランドアンバサダーとして起用した。秘めわざを着用した菜々緒さんが登場するビジュアルや動画コンテンツを店頭、ウェブサイト、テレビCMなどで展開し、特設ページでは菜々緒さんのインタビュー動画も公開している。

〈アズ/長く続く夏対策を本格化〉

 アズは25秋冬のメンズ、レディースインナーで、夏のような暑さが続く秋口の天候に対応した新ブランド「ブリーズテックスライト」「シーズンスイッチ」を発売する。また、独自開発したアクリレート繊維による吸湿発熱インナーの新ブランド「スチームノヴァ」を打ち出す。

 24秋冬商戦では、秋口に暑さが続いたため、出だしが低調だったほか、防寒物の期間が短縮されたため「苦戦した」という。

 25秋冬では、暑い秋口の天候にマッチした商材作りを重視。ブリーズテックスライト、シーズンスイッチを重点的に投入する。

 「ブリーズテックス」は裏起毛や防風機能を持たせることで保温性能を引き上げ蒸れ感も解消する秋冬向けの基幹素材。光蓄熱機能も複合した「ブリーズテックスハイパー」も構える。

 25秋冬では、裏起毛をせずに薄手に仕上げたブリーズテックスライトを開発。値頃感を持たせてあり、一格下のゾーンで市場浸透を目指す。長袖丸首、長袖モックネック、ロングタイツの3型で展開。価格はいずれも1480円になる。

 シーズンスイッチは生地にマイクロカプセルを配合し調温機能を持たせたポリエステル/綿/レーヨンによるインナー。半袖V首(1280円)、長袖丸首(同)、ロングボクサー(同)、ロングタイツ(同)など6型をラインアップする。

 スチームノヴァでは、アクリレート繊維の開発に成功。他社から調達していたのを自社糸に切り替え吸湿発熱インナーを商品化した。

〈フジボウアパレル/フードテキスタイルと協業〉

 フジボウアパレルは、肌着ブランド「アングル」で、規格外・未活用状態となった食材から抽出した天然染料を活用するプロジェクト「FOOD TEXTILE」(フードテキスタイル)と協業し、肌にも環境にも優しい肌着の展開を開始した。オンラインストアと期間限定イベントで販売する。

 フードテキスタイルは、規格外・未活用状態となった食材を再活用して糸やわたを染め上げて新しい商品に生まれ変わらせるアップサイクルプロジェクト。豊島が展開し、日本で大きな課題の一つとなっている食品ロスの減少などに貢献している。

 第1弾商品は、早春から夏にかけて活躍するレディース4アイテムをラインアップ。タンクトップ(税込み5280円)と8分袖(同5940円)、タートルネック(同6380円)、レギンス(同5940円)。アングルのこだわりを詰め込み、いずれもベースの生地は綿100%。M~LLで展開する。

 色目は、奈良県五條市の梅の実で抽出したアイボリーと愛知県安城市の抹茶で抽出したイエローグリーンの2色。

 梅の実は、農園で収穫された時に傷がついたものや変形して売りに出せない規格外品を回収して染料にする。抹茶は、碾茶(てんちゃ)を加工する際に出る粒子の不ぞろいなものやふるいに残ったものを再利用している。

〈オグランジャパン/長い夏対策品打ち出す〉

 紳士肌着が主力のオグランジャパンは25秋冬のインナー・肌着で、夏のような暑さが続く最近の秋口に対応した新商品を打ち出し「8~10月を乗り切りたい」との考えだ。

 24秋冬商戦では8~9月の前半が長引く暑さの影響で低迷。後半から寒くはなったものの、販売期間の短縮で前半の苦戦を取り戻すには至らなかったと言う。

 このため、25秋冬では、暑さが続く前半商戦に合わせて開発した新商材3型で販売増を計画する。

 軽くて吸水速乾性能にも優れたポリエステルハニカムメッシュによるインナー、マイクロカプセルを練り込み調温機能を発揮するインナー上下、蒸れ感の軽減、臭い対策を施したキュプラ混・消臭加工のインナーの販促に特に力を入れる。

 主力ブランドの一つ「リー」が24秋冬でも好調を維持している。25秋冬ではメンズ中心だったラインアップを拡充。レディース、キッズを加え家族でコーディネートを楽しむことができるアイテムを提案し拡販につなげる。

 主力ブランドの「ミチコロンドン」「クロコダイル」でもブラジャー&ショーツ、トップス、サニタリーショーツなどを加え商品ライン増強を進めている。これらを通じ現状で売り上げの10%前後を占めるレディースの比率を数年かけて「30%台に乗せたい」考えだ。

〈CharMii/トランスジェンダー女性向け下着〉

 2024年3月創業の新興企業であるCharMii(東京都中央区)は、トランスジェンダー女性やノンバイナリー向けランジェリーブランドを立ち上げた。生物学上男性の骨格に合うブラジャーや男性器部分をフラットにするショーツをそろえ、「Trans Wear」の名称で販売を開始した。

 電通グループの調査によると、日本のトランスジェンダーやノンバイナリー・Xジェンダー、クエスチョニングの割合は全人口の3・4%に上る。CharMiiがトランスジェンダー女性らに直接聞き取りを行ったところ、「自分の体に合う下着がない」「お店で試着ができない」という悩みがあることが分かった。

 こうした状況を受けて同社は、恋愛対象や性自認、性表現に関係なく、誰もがありのままでいられるブランドTrans Wearを立ち上げた。同ブランドのランジェリーの提案で、トランスジェンダー女性やノンバイナリー当事者に新たな選択肢を提供する。

 ブラジャーは、生物学上男性の骨格に合うように肩ひもの長さや左右のバックベルトを止めるホックが調整できる構造を採用した。ショーツは、長時間着用した時の圧迫感を軽減した上で男性器部分をフラットに見せる機能を備える。ブラックやピンクなど5色を用意する。公式オンラインショップで販売する。

〈ワコールホールディングス/ルシアンの株式を譲渡〉

 中期経営計画(リバイズ)を推進しているワコールホールディングスはこのほど、完全子会社のルシアンを譲渡すると発表した。ソフトウエア企業のTANAAKK(タナーク、東京都千代田区)に保有する全株式の1千株(議決権所有割合100%)を4月1日付で譲渡する。

 ルシアンは、日用雑貨品を輸入・販売する貿易会社として1933年に創業した。現在はインナーウエアや手芸用品、レース素材の製造・販売を行う。2024年3月期の単体業績は、2億3300万円の営業損失を計上し、赤字幅は前年と比べて1億7300万円拡大していた。

 タナークは、13年7月の設立(創業は06年12月)。人工知能(AI)とクラウドの能力を最大限に生かしたソフトウエアを自社で開発し、投資収益率やオペレーションの改善支援、新規事業立ち上げ支援を事業としている。

 今回、ルシアンが持つポテンシャルを最大化し、さらなる成長を実現するため、ベンチャー企業であるタナークへの株式譲渡を決めた。譲渡価額は公表していない。タナークの事業ノウハウを礎にルシアンが擁する経営資源を生かしつつ、新しい視点での事業再生と再成長を目指す。

 なお、ワコールホールディングスは、25年3月期に今回の株式譲渡に伴う損失を計上する予定。