LIVING-BIZ vol.116(10)

2025年03月17日 (月曜日)

〈イワタ/海外高級ホテルへ販売/外国人の購入比率高まる〉

 寝具製造卸・小売りのイワタ(京都市)は、海外のラグジュアリーホテルなどへの販売を進める。高品質品とともに、同社のモノ作りの考え方や環境対応が海外で支持されている。

 同社は滋賀県愛荘町に自社工場を持ち、高級ゾーンの寝具を中心に事業展開する。卸のほか、国内で直営店4店を運営。高級天然毛をぜいたくに使用したマットレスが主力商品の一つで、キャメル毛、ヤク毛、ホースヘアーなどの獣毛を積層することで優れた湿度調節と保温力、支持性を実現し、寝心地を高める。

 海外の高級ホテル向け販売も広がる。韓国・済州島のハイエンドホテルに、同社のマットレスや掛けふとんなど寝具一式が十数組採用されたほか、米国のリゾート開発が進めるラグジュアリーホテルから引き合いがあり、サンプルを提供している。

 同社の寝具は、国内の宿泊施設数十軒にも採用されており、宿泊した外国人の口コミなどで、外国人向けのビジネスが広がっている。国内直営店では、売り上げの1割強が欧米などの外国人。国内に住む外国人のほか、訪日外国人が店舗で購入後、海外に商品を送る場合もある。送料が数十万円になるケースもあるが、購入していくと言う。

 2024年には世界のハイブランドがそろう台湾の台北SOGO復興館(台北市)に出店。イワタの総代理店である桑土達實業が運営する。イワタの岩田有史社長は、外国人に支持されている理由として、商品の品質とともに「背後にあるモノ作りの考え方や、サステイナビリティーの取り組みへの共感」などを挙げている。

〈nishikawa/伊藤忠寮にマットレス/睡眠面から健康サポート〉

 nishikawaは、3日に竣工した伊藤忠商事の新女子寮全室(97室)に、高精度センシングマットレス「[エアーコネクテッド]SXマットレス」を納入した。同製品の施設導入は初めて。入居する同社社員の健康を睡眠の面からサポートする。

 健康経営と人的投資強化に取り組む伊藤忠は、睡眠の質・量が労働生産性向上に寄与すると考え、同マットレスを導入した。両社は、睡眠マネジメントの異業種コンソーシアム「スリープ イノベーション プラットフォーム」の会員で、一昨年来、伊藤忠社員を対象にnishikawaの睡眠改善プログラムを継続的に実施。睡眠不足や日中の眠気などの課題が顕在化していた。

 エアーコネクテッドSXマットレスは、大谷翔平選手などトップアスリートも多く愛用する最上位モデル「[エアーSX]マットレス」の寝心地はそのままに、高精度センサーを内蔵したもの。睡眠中の呼吸、心拍、体動から睡眠深度まで測定し、無呼吸リスクの判定や自律神経バランスの可視化もかなえる。

 スマートフォンにダウンロードした睡眠アプリ「グーモ」と連携することで、利用者の睡眠を分析・可視化して、眠りや生活習慣の適切なアドバイスをする。スマートリモコン/プラグ(各自購入)の活用で家電とも連携し、入眠・起床に合わせて照明や空調、音楽などを自動制御。より快適な睡眠環境も得られる。

 スリープテックによる「睡眠ソルーション」に力を入れるnishikawaは、これを皮切りにBtoBでのエアーコネクテッドSXマットレス拡販を図る。

〈ビジネスガイド社主催「TIGS」/今秋節目の第100回/「L×D」も活性化〉

 パーソナルギフトと生活雑貨の国際見本市「東京インターナショナル・ギフト・ショー」(TIGS)が、今秋第100回を迎える。主催者であるビジネスガイド社の芳賀信享社長は「日本を代表するトレードショーとして約50年間継続してきた。名実ともに歴史があり、今後も時代の半歩先を捉え展開する」と話した。

 新たなテーマは「平和と愛の贈り物」。9月3~5日に同時開催3展とともに、東京ビッグサイト東・西・南の全館(改修する東1~3ホール除く)で開催する。総出展者数3千社、総来場者数23万人を見込む。

 住宅デザインとリノベーションの「第18回ライフ×デザイン」(L×D)も、新テーマ「自分の好きと、私の良いなと あなたにピッタリは違うけど みんなとってもいい感じ」で開催。今春新設した特別企画「フォーカルポイント」の共創アートディレクター、人気企画「アクティブデザイン&クラフトフェア」「アクティブクリエーターズ」のディレクターを一新し、より一層活性化する。

 トータルインテリアの国際見本市「リビング&デザイン」では、素材と技術に焦点を当てたL×Dの「ソザイ展」などと合わせ、コントラクト領域を強化する。

 TIGS全体で海外販路開拓のサポートも。出展者の商品情報を記載したカタログを作成して会期前に約30人の海外VIPバイヤーへ提供し、商談の実効性を高める。

〈「睡眠文化論」出版で/トークイベント盛況〉

 2月下旬、淡交社「睡眠文化論」の出版記念トークイベントがジュンク堂書店池袋本店(東京都豊島区)で開催された。オンラインとのハイブリッド形式で行われ、会場には50人以上が集まり盛況だった。

 NPO法人睡眠文化研究会による、立教大学と京都大学での人気講義を基に書籍化した同書。編者も務めた立教大学名誉教授・浦和大学教授の豊田由貴夫氏は冒頭、「仕事などの効率を上げるためによく眠るではなく、睡眠自体を楽しんでほしい、眠りを考えると生活が豊かになるのではという視点で著した」と発刊の意図を語った。

 その後、同氏と江戸川大学特任教授・同大睡眠研究所顧問の福田一彦氏、アイルランドからリモート登壇した武蔵大学教授兼トリニティ・カレッジ・ダブリン客員研究員の北村紗衣氏でトークセッション。文化人類学をベースとする豊田氏と、精神生理学や時間生物学専門の福田氏で熱く議論する場面も。両氏は睡眠文化研究会理事で、本紙リビング・ビズ特集のコラム「古今東西スリープ・ジャーニー」に度々寄稿いただいている。

 シェイクスピア研究や舞台芸術史が専門の北村氏は、同書に書かれていない「共感覚」と眠りに言及。共感覚は一つの感覚刺激から複数の感覚が引き起こされる知覚現象で、同氏は「文字や数字に色を感じる」共感覚者だと言う。共感覚の最新研究なども交えて話した。

〈音部/快適な寝姿勢支えるマットなど/2種の新商品販売〉

 軽寝具・寝装品製造卸の音部(愛知県蒲郡市)は、快適な寝姿勢の維持をサポートする寝具シリーズ「フレキシー」から2種類の新商品を販売している。軽量で持ち運びが可能な「マットレスストッパー」と、マット状で単体でも使用できる「コンパクトマット」を打ち出す。

 フレキシーは音部に在籍する睡眠環境・寝具指導士の有資格者が監修した寝具シリーズ。蒲郡市で生産したポリエチレン素材のファイバーが複雑に絡んだ3次元構造のクッション状中材「シーズコア」を使用。その特性を生かして開発された。

 シーズコアはクッション性に優れた高反発素材で、体の浮き沈みが少ない特性を持つ。中材の90%以上が空気の隙間で、湿気や熱がこもりにくく、手洗いも可能。清潔なままに使用できる。

 マットレスストッパーはベッドや敷ぶとんに重ねることができ、持ち運びが可能。サイズは97×195センチのシングルサイズで、価格は2万7280円。コンパクトマットはリビングや和室などの室内空間だけでなく、アウトドアなど多目的に使用ができる。サイズは68×180センチ、価格は2万1780円。

 新商品は音部の通販サイトで販売中。主販先の量販店・ホームセンターでも順次販売する。

〈矢野経済研究所/前年比横ばい3兆5392億円/24年HF市場規模〉

 矢野経済研究所はこのほど、2024年のホームファッション(HF)小売市場規模(予測値)を前年比横ばいとなる3兆5392億円と公表した。

 23年の国内ホームファッション小売市場規模(推計値)は、前年比1・5%減の3兆5381億円だった。タオル製品、ナイトウエア・ホームウエア、インテリアファブリックス、キッチン・テーブルウエアが前年を上回ったが、伸び率は微増としている。

 24年は、高級品の減少が影響するベッドリネン・寝具以外の分野は横ばいから微増で、前年比横ばいになったとみている。

 HF小売市場は「ベッドリネン・寝具」「タオル製品」「ナイトウエア・ホームウエア」「ホームファニチュア」「インテリアファブリックス」「ホームライティング」「キッチン・テーブルウエア」の7分野を対象にしている。