LIVING-BIZ vol.116(9)/東洋紡せんい/蔭山/ジェネレーションパス/NTT東日本×さとえ小

2025年03月17日 (月曜日)

〈東洋紡せんい/ASEANで吸湿ポリわた生産へ/改質と現地供給で差別化〉

 東洋紡せんいのマテリアル事業部ライフマテリアルグループは、ASEANで吸湿ポリエステルわたの2025年度中の生産を目指す。得意とする改質技術を生かし、海外生産のコストメリットや現地供給能力を高めることで差別化する。

 ASEANでの改質技術を生かしたモノ作りは、綿が先行する。ベトナムで協力工場を活用し、改質加工わた、紡績糸の生産体制を構築。25秋冬向けから綿を改質して吸湿発熱機能を高めた糸「ホットナチュレネオ」の量産に入る。寝装のブランケット向けなどの20番手糸の供給から始める。

 ベトナムで26春夏向けからの改質レーヨンの量産も目指しており、吸湿性が高く、水分を蓄える改質レーヨン糸「リフレス」、わたを改質して消臭スピード・キャパシティーを高めた消臭レーヨン糸「アットデオ」を供給する。

 ASEAN地域では、吸湿性の低いポリエステルを改質することで綿並みの吸湿率に高めたポリエステル短繊維「グレファージュ」の生産体制構築も進めていく。汗と蒸れ感を同時に処理することができ、寝具の中わた用途などへ訴求する。ポリエステルにない機能を付与することで、モノマテリアル化も後押しする。

 撥水(はっすい)性を持たせた改質綿もASEANで生産する計画で取り組みを進める。

 同グループの永野年哉マネージャーは、改質技術と海外生産をポイントに挙げ、「売るというより、売れる素材を出していく」としている。

〈蔭山/製品企画で事業領域広げる/中わた選べる寝具など〉

 ふとん地製造卸の蔭山(大阪市中央区)は、生地、“側”(中わたを入れる前の半製品)売りだけでなく、製品企画を強化している。特許申請中の生地とキルティングを工夫し、中わたを約15種類からから選べる掛けふとんなどを打ち出す。

 新たに打ち出す掛けふとん「ソブラーノ デザインキルトケット」は、“側”生地に、素材の弾力性を生かして「マシュマロ触感」の肌触りを追求した特許申請中の生地「ソブラーノ」を使用。側のキルティングは、自社北欧デザインブランド「ガーブカーサ」のデザインを表現。縦長のキルティングで、掛けふとんが体に添うように工夫した。

 中わたは帝人のポリエステル機能わたを約15種類用意。顧客のニーズに合わせた機能わたを選べるようにした。

 製品企画では眠りのグッズも提案。睡眠用の手首・足首ネックウオーマーや抱き枕を打ち出す。ハーブ・アロマテラピー製造販売の生活の木(東京都渋谷区)とコラボレーションし、生地表面に直径2~3マイクロメートルの球形で天然のエッセンシャルオイルを内包したカプセルを糊着(こちゃく)させた生地使いの睡眠用の縫いぐるみも企画。摩擦・圧力で、カプセルからオイル成分が放出されることで眠りの質を高める香りなどを発生させる。

〈ジェネレーションパス/カポックと羽毛充填で特許/中国のグループ企業が取得〉

 インテリア・ファブリック商材の製造・販売なども手掛ける電子商取引(EC)マーケティング企業、ジェネレーションパス(東京都新宿区)の中国グループ企業がこのほど、カポックと羽毛を含む充填(じゅうてん)に関する特許を取得した。国内外の寝具・アパレルメーカーへの提案を強化し、他社ブランド向けOEM供給や特許技術のライセンス事業へつなげる。

 同社の完全連結子会社の青島新綻紡貿易の100%子会社の青島新嘉程家紡(山東省青島市)が、カポック繊維と羽毛を含む充填材と、その製造措置・製造方法に関する特許を取得した(特許第7610198号)。

 カポックと羽毛を撹拌(かくはん)機に入れて混合し、カポック繊維が羽毛の羽枝に絡んだ充填材の製造が可能。カポックの消臭性や防カビ・制菌・防ダニ性を生かすことで、羽毛独特の臭いを軽減し、寝具や衣類を清潔に保つ。カポックが持つ羽毛の約10分の1というコスト性(同社グループ実績)も強み。洗濯も可能で、メンテナンスが容易。

 カポックと羽毛をミックスした同充填材を寝具や衣類へ提案し、浸透を図る。

 ジェネレーションパスは、東証グロース市場に上場する。2024年10月期の連結業績は、売上高162億円、営業利益8100万円。インテリア・ファブリック商材の製造・販売を含めた商品企画関連事業の売上高は28億9900万円、営業利益8200万円だった。

〈NTT東日本×さとえ小/睡眠探求授業をモデル化/児童による成果発表も〉

 NTT東日本の埼玉支店(さいたま市)と、佐藤栄学園さとえ小学校(同)はこのほど、「睡眠×テクノロジー教育」の最終発表会を行った。昨年度の成果を踏まえ、「教育機関で柔軟に実施できる睡眠探求授業」を共創、他の教育機関でも実践できるようモデル化した。

 同授業は今年度も4年生を対象に実施。今年度は新たに、NTT東日本グループ運営の睡眠仮想コミュニティー「ザコネ」加盟6社による特別授業を設けた。実社会での課題解決に生かす「STEAM教育」の一環で、各社の睡眠関連製品を体験しながら睡眠について学び、最終的に睡眠改善商品やアイデアのプレゼンテーションを行った。

 テンシャル(東京都品川区)のリカバリーウエア「バクネ」を通して睡眠と衣類の関係を探求したグループは、浴衣パジャマやブランケットを提案。ヨギボー(大阪市中央区)のビーズソファから仮眠の重要性を探求したグループは、睡眠・仮眠の両方ができるヨギボーベッドを発案した。

 その他、ロボットとアプリで生体リズムを整えるサーカディアンパートナー、VR(仮想現実)を用いた食物繊維アプリ、香り付きなど進化系メガネ4種類、電動ベッドフレームが提案された。市場のニーズやコストなどの面から、いずれも不採用だったが、企業担当者らは「睡眠への理解が深まっている」点を高く評価していた。