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「インテキ上海」の日系大手出展者/スポーツ向け提案活発/独自開発素材をアピール

2025年03月17日 (月曜日)

 【上海支局】11~13日に中国・上海市で開かれた服地と副資材の国際展「インターテキスタイル上海アパレルファブリックス2025春夏」(インテキ上海)には、日系大手メーカーと商社が出展し、独自開発品をアピールした。スポーツ・アウトドアのトレンドを意識した提案が目立った。

 東レの中国法人で、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)は、アウトドアウエアに最適な防水透湿素材「ダーミザクス」やストレット軽量素材「プライムフレックス」などの素材ブランドと、革新的な複合紡糸技術「ナノデザイン」を訴求した。ナノデザインで開発した4種類のポリエステル糸を使った複数の生地を、日常生活とスポーツの用途別に紹介し、好評を得た。また遮光・遮熱・UVカット機能を持つ素材「サマーシールド」を日傘用途として提案し、注目を集めた。

 帝人フロンティアの中国法人で、ポリエステル長繊維の製織と染色加工を手掛ける南通帝人は、超軽量ポリエステル繊維「オクタ」と、適度なストレッチ性を持つポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」を訴求した。オクタは中わた用途と、裏起毛のトリコットメッシュの二つを打ち出した。オクタとソロテックスはともに中国内販が好調だ。

 GSIクレオスグループの新会社、ソアロンは、トリアセテート繊維「ソアロン」を、スマートカジュアルとアスレジャー向けとして提案した。主力の高級レディース向けの内販はこの1、2年、ファッション市場の低迷で芳しくない。そのため、メンズとアスレジャー向けの強化を図っている。メンズ向けとして清涼感が特徴のソアロン100%の綾織、アスレジャー向けとしてソアロン73%、ポリエステル27%のポンチ素材を打ち出した。

 旭化成アドバンスは、キュプラ繊維「ベンベルグ」を使った裏地の染色加工を手掛ける合弁会社、寧波宜陽賓覇紡織品と共同で出展し、ベンベルグ使いのファッション向け裏地を訴求した。内販はここ数年、ユニフォーム向け裏地の販売が健闘する。一方でファッション向け裏地は、工場(宮崎県延岡市)で22年4月に起きた火災の影響で供給不足になり、芳しくない。工場の設備復旧が進み、生産量が回復しつつあることから、ファッション向け裏地のプロモーションを再開し、挽回を図っていく。

 スタイレム瀧定大阪は、ファッションとスポーツ向け双方の独自機能素材をアピールした。ファッション向けは、「エアレッチ」と米イーストマンケミカルのジアセテート繊維「ナイア」使いを訴求。エアレッチは、ポリエステルの中空ポリマーと、ストレッチ糸を使用した素材で、軽さと快適な着心地を紹介した。

 カイタックグループのZERO―TEX(ゼロテックス)は、独自素材ブランド「ゼロテックス」を出展した。主力アイテムは全天候型耐久撥水で蒸れにくいポリエステル綿混生地で、東レのマレーシア工場で生産している。生地から製品まで一貫で提供できることや、衣類だけでなく、帽子やかばんにも適していることを訴求した。今回の出展を機に、中国でユニフォーム会社からアパレルブランドまで幅広く開拓していく。