糸商 代替糸の試作活発化
2025年03月14日 (金曜日)
昨年11月28日に発表されたユニチカの繊維事業(ナイロンモノフィラメントやナイロン中空糸など一部を除く)の撤退に伴い、需要家の糸商が対応に追われている。売却先が決まり事業継続か、撤収かが現段階で不明のため、需要家は在庫の積み増しを求める一方で、代替糸の探索や代替糸による試作に取り組む。
ただ、試作は自社費用となるケースが多く、そのコスト増にも見舞われている。
ユニチカの繊維事業では綿紡績糸製造のユニチカテキスタイル(岡山県総社市)が今年9月で操業休止することが2月7日に開かれた臨時株主総会で明らかになった。
ユニチカテキスタイルで生産する複重層糸「パルパー」の供給を受けていたある糸商は「別注の特殊品でもあり、海外糸で同じ糸は難しく、廃番にするしかない」と話す。
岡崎工場(愛知県岡崎市)で製造するポリエステル長繊維の供給を受ける、ある糸商は「1年間分の備蓄を依頼したが、売却先が見つからない場合に備えて他社糸で試験は行っている」とし、高強力ポリエステル長繊維を購入する糸商は「輸入糸か国内の他社製で試験を始めた」と言う。
中には顧客からは5年分を確保してほしいという要望があった糸商もあったが「仮に完全撤収となった場合、どこまで保証をしてもらえるか分からない中では対応できない」とする。一方で「26年9月まで生産すると聞いているが、予定通りの数量を供給できるのか不安」と話す糸商もあった。
また、ユニチカトレーディングに繊維原料を販売する商社からは「商権が他社に移った場合、継続して当社から購入するかどうか不明。売り上げ減につながる可能性がある」と頭を悩ませている。