テイジン・トワロン 唐澤社長に聞く/「トワロン」増産分売り切る

2002年05月29日 (水曜日)

タイヤメーカーと長期契約

 オランダテイジン・トワロンの唐澤佳長社長(帝人グループ執行役員産業繊維事業グループ長)はパラ系アラミド繊維「トワロン」増設後の販売について、「段階的に設備が立ち上がるため、初年度生産量は3600~4000トンとなるが、増産分は無理なく売り切れる」との見通しを示した。

 同社は03年4月から3段階に分けて「トワロン」の生産能力を引き上げ、年末には年産7500トン増設の同1万8500トンまで拡大するが、大増設による懸念材料は今のところなさそう。その背景には光ファイバー用、防弾チョッキなど防護衣料用だけでなく、タイヤ向けの販売増が見込める点も大きいという。

 すでに、グッドイヤー、ミシュラン、ピレリなど大手タイヤメーカーと5年間の長期販売契約を結んだからだ。

 00年は光ファイバー用の需要急増によりタイヤコード用は玉不足に陥り、タイヤメーカーも安定供給体制の必要性を感じたほか、「新たな製造法の研究を加速しており、その部材としてパラ系アラミド繊維を採用している」こともあって、長期契約を結ぶことに成功した。こうしたタイヤでの販売増に対応して買収時の増設計画を見直し、長繊維の増設が1ライン増えて2ラインとなり、増設規模が7500トンになった。

 また、米国需要の冷え込みが懸念された光ファイバーのテンションメンバー(緊張材)も中国、インドからの引き合いが活発で、防護衣料向けも堅調に推移し、「最近はインド、パキスタンからの要望が増えている」。

 最も量が多いブレーキパッド、ガスケットなどに使用するパルプは「ライバルのデュポンが単価安から手を引き始めている」こともあって、増設後のシエア拡大が可能としている。

 同社は01年度(暦年)、玉不足を背景にした平均15~20%の値上げにより増収増益を達成。帝人の02年3月期連結における繊維事業の稼ぎ頭となっている。