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インドネシア日清紡グループ/海外市場で拡販、成長へ/一貫生産強みに素材開発

2025年03月13日 (木曜日)

 インドネシアの日清紡グループは、同国内での紡績、織布、加工の一貫生産体制を強みに、新商材を開発し、インドネシア国内や日本以外の海外市場への販売を強化する。現在の主力は、日本で流通するユニフォーム・シャツ用の生地だが、日本の商況が低調なため海外で新たな成長を狙う。

 同グループは、紡績・織布のニカワテキスタイル、織布・染色加工の日清紡インドネシア、縫製のナイガイシャツインドネシアの3社で構成する。

 環境に関する取り組みにも力を入れ、環境意識の高い海外市場開拓に生かす。既に原綿(綿花)調達では、生産国を選別し、BCIコットンやUSコットンプロトコルなどへの加盟、国際認証取得によるトレーサビリティー確保への取り組みを強化。主な仕入先には同グループの「サステナブル調達基本方針」を示し、同意が得られる業者から原料を購入する。

 工場に必要なエネルギーの使い方でも環境を考えた取り組みを強化している。同グループでは2017年からボイラーの燃料に石炭とバイオマス燃料との併用を開始、現在では、バイオマス燃料比率が25%に達した。

 ニカワテキスタイルでは21年に石炭自家発電設備を停止し、全量を国営電力からの購入に切り替えたことで、エネルギー由来の温室効果ガス排出量を60%削減した。

 22年半ばからはインドネシアグループ3社の電力を地熱発電による再生可能エネルギーに切り替え、スコープ2(買電)の温室効果ガス排出量ゼロを実現した。今後、排水の再利用による水使用量削減やバイオガスの活用などにも取り組む方針。

〈3社黒字確保〉

 インドネシアの日清紡グループ3社の2024年12月期決算は、売上高、利益ともに期初計画比で未達となったようだ。ただ、営業利益では3社とも黒字を確保したもよう。日本の消費市場で進んだインフレによって、ユニフォームやシャツの買い控えが進み、生地の発注減につながった。

 今期は、海外市場の開拓と同時にコストダウンの取り組みも充実させる。24年から紡績、織布、加工、縫製の各工程で、異なる視点から相互監査する取り組みを始め、無駄の削減を強化しているほか、3社の全従業員が取り組む“カイゼン”運動でも深化を促す。

 設備投資としては、ニカワテキスタイルで渦流紡績機「ボルテックス」を追加導入し、省力化と高付加価値化を進める。