東レ マスバランス方式導入
2025年03月13日 (木曜日)
東レは、アクリル短繊維「トレロン」でバイオマス由来や廃棄プラスチック由来特性をマスバランス方式で割り当てた製品の量産を4月から開始する。マスバランス方式の導入によってトレロンの環境負荷を低減でき、アクリル繊維の需要掘り起こしが期待できる。
同方式は、製品の製造・加工・流通工程でバイオマス由来や廃棄プラスチック由来などの特性を持った原料と通常原料を混合使用する場合、特性を持った原料の投入量に応じて製品の一部に特性を割り当てる手法。例えば、廃棄プラスチック由来原料20%と石油由来原料80%でアクリル繊維を製造した場合、生産量の20%を廃棄プラスチック由来アクリル繊維として販売できる。
近年、主要合繊のうちポリエステル繊維やナイロン繊維はリサイクル原料の使用が拡大し、バイオマス由来原料の開発も加速した。一方、アクリル繊維はリサイクルに必要な単一素材の廃棄物が乏しいことや物質特性上もリサイクルが難しい。このため世界的に環境配慮型素材の需要が高まる中、アクリル繊維は他の合繊に代替される動きが強まっており、需要減退が課題となっていた。
今回、東レがトレロンに同方式を導入したことで、廃棄プラスチック由来リサイクル原料やバイオマス由来原料による環境配慮型の高付加価値なアクリル繊維を量産し、市場投入することが可能になった。
同社では今後、サプライチェーンと協業しながら同方式適用製品のライフサイクルアセスメント(LCA)検証を行い、サステイナブルアパレル連合(SAC)が開発した環境配慮指標「Higgインデックス」へのトレロンの登録に向けた申請・審査を進める。これによりアクリル繊維の需要の掘り起こしを目指す。