ベトナム法人トップに聞く/プロミネント〈ベトナム〉社長 高藤 康晴 氏/地場ブランド向け拡大へ
2025年03月12日 (水曜日)
伊藤忠商事のベトナム法人、プロミネント〈ベトナム〉が、地場ブランド向けの販売拡大にアクセルを踏む。内販を進める体制が整ってきたことから、新規顧客の開拓を積極化する。高藤康晴社長に2025年3月期の見通しと、内販の現状や計画について聞いた。
(ホーチミン=岩下祐一)
◇
――25年3月期業績は。
前期比2割増益の見通しです。地場ブランド向けの製品と生地の販売を手掛ける内販が、大きく伸びました。スポーツウエアと大手SPA向けのカジュアルウエアが中心の日本向けも健闘しました。スポーツがメインの米国向けは、前期並みでした。
――顧客の国別売上比率は。
日本70%、ベトナム20%、米国10%です。
――製品と生地のカテゴリー別状況は。
主にスポーツ、カジュアル、ユニフォーム、インナーの四つを手掛けています。近年はダウンウエアなどの重衣料とカットソー、丸編みのスポーツが増える一方、廉価なユニフォームがやや減っています。
4カテゴリーの中で、特にスポーツに注力しています。その成果で日本向けのみならず、米国ブランドのアジア企画品のODMの仕事などが増えています。
――ベトナム内販の詳細は。
(伊藤忠商事グループが資本・業務提携する地場大手ブランド企業の)コーウィル向けの今期の売り上げが、前期に比べ倍増となります。
内販では与信リスクを回避するため、売り先をこれまで厳選してきました。一方、内販ビジネスを続ける中でコーウィル以外にも元気のよい地場ブランドが見つかっています。与信管理を含め、内販を進める体制が整ってきたことから、来期は新規顧客の開拓を本格化します。
――元気のよい地場ブランドとは。
コーウィルよりも小規模なところで、売り上げを伸ばしているところがたくさんあります。ただし、大部分が在庫を大量に抱えています。そのため、経営が健全とみられる数社に絞って、取り組みを始めます。
――ベトナムの小売りは、海外ブランドがけん引しています
その中で成功している地場ブランドは、まだそれほどありません。地場ブランドの将来性についても見極めていきます。
在庫に悩むところが多いことからも分かるように、地場ブランドはアパレル経営のノウハウを確立できていないところが多い。当社はコーウィルに対し、そうしたノウハウを投入していきます。
――来期の計画や見通しは。
内販では、地場の生地商社向けの生地販売も拡大します。当社にはR&D(研究開発)センターがあり、編み物と織物のさまざまな生地を開発しています。
日本向けはスポーツと、シャツ中心のカジュアルを拡大できそうです。米国向けも、中国から移管されるダウンウエアのOEMを伸ばせる見通しです。