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インドネシア東洋紡グループ 現地や海外で販路開拓へ

2025年03月12日 (水曜日)

 インドネシアの東洋紡グループは現地や海外市場における、素材や縫製品の販路開拓に力を入れる。同グループの繊維事業は、これまで日本市場へのニット地販売を主力としてきたが、近年、現地ではスポーツ衣料などで日系繊維メーカーの機能素材の需要が拡大しつつあると言う。

 同グループを統括する、東洋紡インドネシア(TID)の現地での生地、縫製品の販売数量は今期(2025年3月期)大幅に増える見込みだ。TIDの松村修社長は「今期の現地での販売量は前期比1・5倍、来期も同等の伸びを計画している」と話す。近年、ドレスシャツ、ランニング、ヨガ、テニスといったスポーツ市場で同社のニット地の採用実績が増えており、今後もこうしたアイテムを手掛ける現地アパレルで需要増を予想する。

 主力の日本向けでは、現地で調達可能な商材のバリエーション拡大に取り組む。主要取引先である親会社、東洋紡せんいに向けて、機能性わた、糸、生地の調達を現地でできるようにし、コスト競争力を磨くことで、東洋紡の繊維事業全体の利益率アップに貢献する。

 インドネシアの東洋紡グループは生地輸出・内販、商社機能を担うTID、生地の編み立て・染色加工の東洋紡マニュファクチャリング・インドネシア(TMI)、縫製工場のシンコウ・トウヨウボウ・ガーメント(STG)の3社で構成する。

 TIDの売り上げ構成比は65%が自動車パーツなどの樹脂事業で占められ、繊維は35%ほど。TIDの今期業績は現地の自動車消費が伸び悩んだため、主力の樹脂事業が苦戦し減収減益となる予想。一方、繊維事業は増収増益。東洋紡せんい向けの繊維素材の販売量が増加した。