第22回JY開幕/多彩な糸が一堂に集結/新たなモノ作りの足掛かりを
2025年03月05日 (水曜日)
糸の展示商談会「第22回ジャパン・ヤーン・フェア」(JY、尾州ファッションデザインセンター主催)が今日5日、愛知県一宮市の総合体育館で開幕する。40社3団体1大学が出展し、天然繊維から合繊までの幅広い糸が並ぶ。今後のモノ作りのヒントになる新開発の商材はもちろん、機能性や風合い、環境配慮、意匠性などを意識した商品が一堂に集結する。6日まで。(川口直康)
国内産地は今年に入り一段と苦戦が目立つようになっている。モノを作り過ぎない傾向や海外品の流入加速などで市況は低迷。一宮市がお膝元の尾州産地も苦境にあえいでいる。そうした状況の中、市場ではより“目新しい素材”を求める傾向が強まっている。
今回の展示会でもそうした要望に応えようと、出展各社はさまざまな商材を打ち出す。モリリンは新素材として、ポリエステル長繊維にキュプラをカバーリングした「ルミナス」を提案。衣服内の湿気を調整し、蒸れやべたつきを抑えつつも、しなやかな風合いを維持した。
豊島は新素材として、麻と合繊を組み合わせた衣料向け「コンフォーテック」を披露する。麻特有の清涼感や光沢感のほか、ストレッチ性などを兼ね備えた新しい機能繊維だ。浅野撚糸(岐阜県安八町)は昨年開発した「超無撚糸」を展示、無撚糸を超えるソフトな風合いなどを訴求する。
ほかにも、泉工業(京都府城陽市)は、得意とするラメ糸の新商品で肌触りを柔らかくしたナイロンラメと綿糸を撚糸したタイプを並べる。大津毛織(大阪府泉大津市)はウール・ポリエステル・綿混の紡毛糸「エコウール」を新たに打ち出す。
いまや当たり前となっているサステイナブル商材も充実。新内外綿(大阪市中央区)は破棄されるカキ殻を使用した保温機能ポリエステル糸「シーウール」を並べる。東洋紡せんいは新方式開繊技術を活用したリサイクル綿糸「さいくるこっと」などをアピールする。
リサイクルポリエステル先染め糸の色糸見本帳を拡充しているタロダ(石川県内灘町)や、リサイクルポリエステルの先染め糸322色そろえた見本帳「エコVO」を展開するシモムラ(同県小松市)など、北陸産地企業もリサイクルにスポットを当てた発信をする。
初出展の各社も多彩な商材をPRする。蝶理は機能性紡績糸「スパンラボ」シリーズやピン仮撚り糸「SPX」の提案に注力。丸佐(岐阜市)は軽量で吸放湿性に優れた美濃和紙使いの「シフレ」を紹介する。帝人テクロス(愛知県稲沢市)は裏からライトを当てると文字や模様が浮かび上がる透過性のある生地などを提案する。
生産背景や独自技術を訴求するのがトスコ(東京都中央区)と大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)だ。トスコは多彩な糸を紡績できる中国工場の高い対応力や同工場で生産したラミーとウールの複合糸を紹介。大垣扶桑紡績は独自の均等混紡技術「SW方式」「FK投入」を前面に打ち出す。