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大和紡績 独自の素材で存在感

2025年03月04日 (火曜日)

 大和紡績は、紡績技術や特殊加工、独自原料の活用などを駆使した商品の提案を継続強化している。他社にはできない素材の打ち出しで存在価値を高めるのが狙いで、綿100%でありながらさまざまな機能を付与した生地「プレミア」などを新たに開発した。独自性の高い商品の投入で需要を取り込む。

 綿100%の高機能生地では、合成繊維並みの速乾性を持つ「ミラクルドライ」を展開しているが、「(速乾性などの)機能は維持しながらソフトな風合いを持つ生地が欲しい」という顧客の要望に応える形で開発したのがプレミアだ。紡績技術と特殊加工などを組み合わせることで機能の発現を可能にした。

 拡散性残留水分率試験(0・6㍉㍑滴下)で55分以内という高い吸水速乾性を誇り、ストレッチ性やソフト風合いも付与した。抗ピリング性、寸法安定性といった特徴も持つ。過流精紡機「MVS」で紡績した糸を使ったタイプとリング紡績糸を使ったタイプの2種類を用意し、Tシャツ向けなどで提案する。

 MVSで紡績した糸では「エアコット」も新提案する。MVS紡績糸は、毛羽の少なさやシャリ感、ハリ・コシなどに優れるが、エアコットは毛羽発生を抑えながら通常のMVS紡績糸よりも柔らかく仕上げている。「紡績スピードなどに独自の条件を設けて製造する」という。20、30、40番が中心で、端番手も生産できる。

 綿100%の無撚糸タイプの「バルキーコット」も新たに打ち出す。無撚に近い状態のためソフト感やかさ高性などが特徴のほか、吸水性も持つ。衣料用ポリプロピレン短繊維を使った「デューロン」シリーズも同社ならではの素材といえる。グループのダイワボウレーヨンのレーヨンを使った素材も積極展開する。

 これらはこのほど東京都中央区の東京本社で開催した「2025年春 サステナブル&機能素材展」で紹介した。「創る」「撚る」「推し」「適する」「備える」の五つのテーマの下、米綿使いのオープンエンド紡績糸「テキサスセブン」、再生ポリエステルと綿の2層構造糸「ツインレット」などを展示した。