繊維ニュース

東洋紡せんい 中東輸出20%増に

2025年03月04日 (火曜日)

 東洋紡せんいの中東民族衣装向け生地輸出は今期(2025年3月期)、前期比20%超の増収を見込む。庄川工場(富山県射水市)の生産増強が奏功した。「1年先まで成約している」(今道裕久取締役営業本部輸出織物事業部長)として、フル稼働が続く。

 中東向け輸出は新型コロナウイルス禍明けの22年から堅調で、23年度は生産体制の整備に手間取り「物量が出せていなかった」。そこで24年度は庄川工場で、他の加工品種の外注移管も含め、余力を中東向けに振り向けた。

 設備の更新やヒートセット、検査といった分散していた設備のレイアウトを見直し生産性を向上。液流染色機を中東向け生地用に改造し、対応できる風合いの幅出しも広がった。加工・仕上げ工程の効率化が本格的に発現し、生産の「ネックが解消された」ことで、24年度はほぼフル稼働が続いた。

 商品面では高級ゾーンが伸びている。ソフトな手触りを追求した「スーパーロイヤルミックス」は、1ヤード(0・9㍍)7㌦近辺と最高級ゾーンだが、サウジアラビアを中心に手堅くリピート。超高密度で奇麗めな光沢感や適度なハリ・コシのあるポリエステル・レーヨン混「スーパーロザンナデラックスバージョン」など、最近の投入商品もけん引役となった。

 ただ、価格転嫁は生産コスト上昇などによる必要分の「60%程度」にとどまる。今後も「余地のある商品は随時値上げ交渉する」。スーパーロザンナの収縮性の改良など、新商品開発も継続し、高級品のロングセラー化にも取り組む。