繊維ニュース

シキボウ 「花咲かす」海外ビジネス

2025年03月03日 (月曜日)

 シキボウは来期(2026年3月期)に向け、一段と海外ビジネスを加速させる。海外拠点が整備されつつある中、繊維部門長の尾﨑友寿上席執行役員は外から外へのビジネスで「どんどん花を咲かす」と話す。堅調な中東民族衣装向け生地輸出に続く、ユニフォーム地を中心とした輸出の拡大も模索する。

 今期は3カ年の中期経営計画の最終年度となる。数値目標の達成は難しいものの、「不採算の事業を見直し集約してきた効果はきっちりと表れてきた」(尾﨑上席執行役員)。新型コロナウイルス禍の時から海外での拠点を構築しつつあり、次期中計ではその効果を発揮できるかがポイントになる。

 22年に台湾、24年にはベトナムで現地法人を設立。今年、中国では敷島貿易〈上海〉の解散を決定し、敷紡〈上海〉国際商貿(旧社名は上海敷島家用紡織)に集約した。インドネシアの紡織加工拠点メルテックス、タイの商事会社JPボスコも含め、「地に足を付け、外から外へのビジネスを広げる」として、来期以降はグローバル戦略をより鮮明にする。

 目を向けるのが堅調な中東向け輸出。昨年はパリ五輪でアラブ首長国連邦の選手団のユニフォーム地としても採用され、中東でシキボウブランドに対する認知度が高まってきた。今度は欧州へも生地販売を拡大し「シキボウのブランドを広げていきたい」。

 「強みとするユニフォーム地なら可能性がある」として、防炎や制電などの機能を訴求。欧州のユニフォームメーカーに直接アプローチするだけではなく、東南アジアでは欧米向けに輸出する工場が多く、海外の拠点を通じて現地工場へもアプローチを仕掛ける。

 中東輸出も民族衣装用途だけでなく、ホテルリネン向けのプリント地など提案の幅を広げる。市場のニーズに沿った素材の研究開発を進めながら「提案力や販売力をもっと高める」。生地だけでなく糸も売り込む。

 外から外のビジネスは、「売上高に占める割合が10%に満たない」状況。海外拠点や各部署が連携しながら原料原糸、生地の海外販売比率を高める。