第22回ジャパン・ヤーン・フェア(JY)/THE BISHU(5)/東洋紡せんい/東和毛織/トスコ/豊島/長谷川商店

2025年02月25日 (火曜日)

〈高級天然繊維でマナード/東洋紡せんい〉

 東洋紡せんいと御幸毛織は今回も共同ブースを構え、長短複合糸「マナード」などを紹介する。

 御幸毛織はウール×ナイロンのマナードで、従来以上の細番手化を実現し、100番や130番(ともに毛番手)の糸を紹介する。ナイロンはケミカルリサイクルナイロン「ループロン」を使い、サステイナブル糸としても訴求する。

 東洋紡せんいは、「ネイチャーブリッドマナード」を紹介する。シルクやリネン、超長綿などを使ったマナードで、高級天然繊維の表情や風合いを持ちながら、長繊維との複合で扱いやすさなどの課題を解決する。長繊維部分はポリエステルだけでなくリサイクルナイロンやトリアセテートなども可能。御幸毛織のウールマナードと合わせてマナードの豊富なバリエーションを紹介し、幅広い要望に応える。

 マナードのほかでは、高品位・高混率などを実現したリサイクル綿糸「さいくるこっと」、リサイクルナイロン×ポリエチレンの冷感素材「すーぱーツベタイン」などを紹介する。

〈柔らかく、ふっくらした糸/東和毛織〉

 東和毛織(愛知県一宮市)はウールを軸に希少性の高い天然繊維の特徴を生かした糸を展開する。アパレル以外にも服飾雑貨や靴下に使用できる、柔らかいタッチで膨らみのある糸をそろえる。

 ウルグアイ産ウールで毛の色をそのまま生かした無染色の30番双糸「ネイチャー」は、編み地にするとしなやかな肌触りを持つ。ネイチャー使用の編み地は7¥文字(G3-1007)、12 ¥文字(G3-1007)を展示する。

 糸番手が8番で新品種の「ルフト」は豪州産メリノウールを原料に使う。弾力があり、編み地にするとケーブルなどの模様が奇麗に立つ。撚りを甘くして紡績したロービング糸だ。

 カシミヤと同等の繊度(15・5マイクロメートル)を持つメリノウール使いで軽いタッチの36番双糸「ヴィータ」シリーズもリニューアル。従来の糸より3割ほど軽く仕上げた。エアリースパンという独自紡績技術を生かし、滑らかさだけでなくバルキー性や柔軟性も付与した。

〈中国拠点活用し提案/トスコ〉

 中国にも製造拠点を持つトスコ(東京都中央区)は今回、中国の拠点で生産した糸を打ち出す。ラミーとウールの複合糸、麻を使用しないリヨセル100%の糸をそろえる。約50点の糸と生地(丸編み、横編み、織物)を展示するほか、パネルで麻の特性なども説明する。

 ラミー・ウール複合糸は10年ほど前に毛番の60番双糸や72番双糸を作ったことがあると言うが、今回は以前よりも太い36番双糸や48番双糸を提案する。48番双糸はセーター用が堅調な動きを見せるが、展示会では織物用途で訴求するとしている。

 中国の工場ではラミーを主力としているが、顧客の要望に応じてさまざまな糸を引いており、対応力は高い。リヨセル100%の梳毛糸も対応力や技術力を生かして開発した糸だ。麻番の60と80番単糸を作り、試織も行った。ネップが出やすいが、光沢感やハリ感などに優れている。

〈麻×合繊で新たな機能を/豊島〉

 豊島は麻と合繊を組み合わせた新素材「コンフォーテック」をはじめ、天然繊維から合繊までの幅広い商材を打ち出す。

 コンフォーテックは展示会では初めての披露。ポリエステルなどの芯糸にリネンやヘンプをカバーリングした衣料向けの素材で、天然繊維と化学繊維を掛け合わせた新しい機能性繊維だ。

 麻特有の清涼感や光沢感のほか、ストレッチや吸水速乾、防シワ性などを備えており、快適な「質感」「着心地」「生活」を実現。番手によって3品種そろえ、糸のほかに織物や丸編みでも展示する。

 ほかにも多彩な素材を訴求していく。モダクリル繊維を使用した難燃素材「アグニノ」や、一般的なポリエステルの約2倍の強度を持つ超高強力素材「グランボンド」などの合繊に加えて、色の再現性に優れた再生ウール素材「サークルウール」や、廃棄食材を染料に活用する「フードテキスタイル」、世界初の製法で生み出される和紙糸「ワガミ」なども提案する。

〈シルク原料の特徴生かす/長谷川商店〉

 長谷川商店(愛知県一宮市)はシルクや天然繊維の特徴を生かした、光沢やしなやかさのある糸と編み地がそろう。

 春夏向けの糸としてシルク70%・リネン30%混紡の120番双糸「アセビ」を訴求する。シルクの光沢を残しつつ、リネン独特のむら感を生かしてアクセントを付ける。製品向け丸編み地やハイゲージニットに適する。

 冬物衣料に適した「シルクフリース」は人気が高い。シルク100%裏毛を両面起毛し、柔らかさとしなやかさが際立つように仕上げる。