シキボウ 中東向け生地輸出3割増
2025年02月25日 (火曜日)
シキボウは、中東民族衣装向け生地輸出を拡大している。今期(2025年3月期)の売り上げは、前期比で3割増の見通し。織布・染色加工会社のシキボウ江南(愛知県江南市)での設備増強も奏功した。それでも「10月までは生産スペースが埋まっている」(橋本康典繊維営業部長〈衣料素材担当〉)と、好調が持続している。来期も新商品を中心に輸出を増やす。
中東向け生地輸出はここ数年堅調で、「24年は日本品への引き合いが比較的多かった」。ラマダン(今年は2月28日から3月29日)前後の商戦では例年、夏物が売れる。しかし、今年は気温が低く、冬物の販売が堅調。商社で在庫が滞留し始めたという話も一部であるものの、冬物が長く売れている影響で「在庫がさばけつつあり、次の受注も入っている」。
モダール混の特殊紡績糸と生地への特殊加工によって、中東では最高級生地として認知される「セルグリーン」の販売が好調。トレンドに合わせたハリがありながらソフトな風合いが評価されていると言う。経糸にポリエステル長繊維、緯糸にポリエステル・モダール混紡糸を交織した「ウインカー」は、パリ五輪でアラブ首長国連邦の選手団のユニフォーム地としても採用された。
リピート需要に加えて、高級ゾーンの新商品が販売数量を押し上げ、売り上げの4割程度を占めるまで増えた。シキボウ江南(愛知県江南市)では昨年、整経機の導入やスチーマー、ベーキング機の更新で、生産キャパシティーを増強。新商品の開発も強化してきた。次の受注も入りつつあり、生産を「厚くし、さらに先の受注を取り込んでいきたい」。
首に巻くネクタイのような飾り糸の販売にも乗り出す。連続シルケットの三子糸をひも状にしたもので、アラブ首長国連邦などでは男性が着用している。