インド/日本産の品質・性能をアピール/首都で最大級の繊維展
2025年02月21日 (金曜日)
経済発展に伴う国内需要の拡大を見据え、インドへの繊維製品の輸出に力を入れる日系企業が現れ始めている。14~17日、首都ニューデリーで開催されたインド最大級の繊維業界展示会「バーラト・テックス」では、NPO日本インド国際産業振興協会(JIIPA、東京都港区)が編成した「ジャパン・パビリオン」に複数の日系企業・団体が出展し、品質や性能の高い日本産繊維製品の魅力をアピールした。
地場投資推進機関インド・ブランド・エクイティ基金(IBEF)によると、インドは世界最大の綿花生産国であり、繊維・衣料品は国内総生産(GDP)の2・3%を占める主要産業。政府も「生産連動型奨励制度」(PLI)を導入するなど、繊維業界の拡大に力を入れており、日系企業は生糸や生地、アパレル製品などといったインド産製品を仕入れ、日本や海外向けに販売してきた。
〈拠点設置を計画する企業も〉
こうした中、世界一の人口を誇り経済発展が見込まれるインド市場の拡大性に期待し、市場開拓を進める企業が現れ始めている。
バーラト・テックスに出展した繊維商社のスタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)は、日本産や東南アジア産の生地輸出に注力する。高所得者層向けの地場アパレル企業に、綿生地以外の製品販売を進めている。特に、増加傾向にある新興ブランドの取引数を増やしていく戦略を掲げる。
同業のヤギは、中高所得者層向けアパレルブランドへ、日本産ジャージー生地の拡販でインド市場の開拓を進める。2025年内にはニューデリーに拠点を設け、商社機能を持たせる構え。当面はインド産製品の仕入れ事業を強化する予定だが、ゆくゆくはインド市場向けの販売拠点としても活用したいという。
綿生地で攻勢をかける企業もある。興和(名古屋市中区)は、色や風合いが豊かな生地製品を武器に日本からの輸出強化を図る。生活関連事業部の隈部哲史氏は、「日本は生地の染色や加工技術が高い。インドのほか、中国やベトナムでも作ることが難しい生地を地場企業や外資系企業向けに販売していきたい」と話した。
〈日系10社・団体が出展〉
こうした中、今回が2回目となったバーラト・テックスには、スタイレムやヤギ、興和のほか、豊島など日系は計10企業・団体が出展し、製品の魅力を発信した。初めて展示会にブースを設けた繊維商社の清原(大阪市中央区)は、インド市場開拓に向け、品質の高いボタンなどの装飾資材を展示。インドを統括する同社ベトナム法人、キヨハラベトナムの松下隆行社長は、「今回の来場者の反応も含め今後の戦略を検討する」と方針を語った。
同展は繊維輸出を促進する12団体が主催し、繊維省が支援している。約22万平方メートルの敷地に、生地やアパレル、手工芸といった計5千社以上の繊維関連企業が出展した。4日間で計12万人が来場したとみられる。
IBEFによると、インドの繊維業界の市場規模は年平均10%で成長し、30年までに3500億ドルに上ると試算されている。所得の拡大で中高所得者が増加することで、日本産繊維製品の需要拡大につながる可能性もある。JIIPAのゴドガテ・プラシャント理事長は、「高機能な繊維は地場アパレル企業からの需要が高い上、中国企業以外に競合がほとんどいない。さらに日系企業の繊維製品輸出入に関する関税は撤廃されており、優位性が高い」と話す。
[NNA]