TES会東日本支部/縫製工場監査で講演会/課題意識高く質問相次ぐ
2025年02月21日 (金曜日)
繊維製品品質管理士(TES)で組織するTES会の東日本支部は20日、都内で「海外での縫製工場監査の現状および技能実習制度から特定技能制度への移行」をテーマに講演会を開いた。講師は日本アパレルクオリティセンター(JAQC)の渡辺嘉也理事長。約120人が聴講し、質疑応答も活発に行われた。
渡辺氏は冒頭、企業の社会的責任(CSR)が強く問われるようになった、1990年代後半以降の協力工場での児童労働問題や倒壊事故などを振り返り、工場のCSR・QC(品質管理)監査の目的を確認。「企業・ブランドイメージの低下を防ぐことは大切だが、最優先すべきは取引先従業員の安全・人権に配慮した持続性のあるサプライチェーン構築」と強調した。
JAQCはオンワード樫山の品質管理部門が独立してできた一般社団法人。オンワードグループや他社の監査状況、人権・労働環境に関わる主要な海外イニシアチブ、中国・東南アジアを中心とする海外縫製工場監査の現状を紹介しながら、JAQCは「問題が見つかったら取引中止という『切り捨てる監査』ではなく、現場を見て従業員の話を聞き、共に改善していく『育てる監査』を重視している」と話した。
技能実習制度から特定技能制度への移行に関しては、「最終決着がまだついていない」として、過去の問題点と今後の方向性を示すにとどめた。
同講演会は、生産工程全般について学ぶ分科会「ライフサイクル研究会」の一環。次回は4月9日に「品質管理と苦情事例」(仮)について開く。3月6日には苦情処理検討会も行う。TES会は全国5支部に分かれ、勉強会や工場見学会などの活動を展開。資格取得後の知識のアップデートやTES同士の交流に力を入れている。