合繊メーカーの24年4~12月 繊維関連事業に力強さ
2025年02月14日 (金曜日)
合繊メーカーの繊維関連事業に力強さが戻ってきた。2024年4~12月期の業績を見ると、一部を除いて増収基調が鮮明で、損益面でも増益や黒字化が相次いだ。業績拡大・回復の要因は、生地・衣料品輸出伸長や産業資材強化、価格政策などさまざまで、強い部分や得意分野で伸ばすという流れが今後加速しそうだ。
繊維・製品セグメントで大幅増益を果たしたのが帝人だ。衣料繊維分野、産業資材分野ともに好調な動きが続き、販売数量の増加が寄与した。事業利益は約52億円の増益を確保したが、販売量増加による増益要因は35億円だった。販売価格改定と販売攻構成改善も20億円のプラス要因となった。
衣料繊維は、アウトドアやスポーツ関連を中心に北米と中国向けの生地・衣料品が伸長した。日本市場向けではカジュアル衣料などの販売が増えた。産業資材分野は水処理フィルター向けポリエステル短繊維、人工皮革、生活雑貨などがけん引役を務めた。
東レの繊維事業も増収増益だったが、衣料と産業用途で動向が分かれた。衣料用途は欧州市場の低迷や海外品との競争激化があったが、総じて堅調に推移。産業用途は、自動車用途が国内自動車メーカーの不正問題や欧州市況の悪化などで本格回復に至らず、中国での電気自動車事業の競争激化の影響も受けた。繊維事業全体では62億円の増益だった。
炭素繊維複合材料事業は航空宇宙用途の回復スピードは鈍化したが、事業全体では増収増益を達成した。
旭化成のマテリアル事業は386億円の増益。このうちモビリティ&インダストリアル事業は61億円の増益で、自動車内装材は価格転嫁や円安による交易条件の改善、中国向けのPVC合成皮革の販売量増加などが寄与して増益だった。繊維などが含まれるライフイノベーション事業は162億円の増益だった。
東洋紡は、機能繊維・商事セグメントで黒字浮上を果たした。衣料繊維事業は、中東向けの特化生地は強い需要にけん引されて販売が増加し、為替の影響で輸出採算が好転した。国内の生産拠点集約などの構造改革の進展も収益性改善に寄与した。製品価格の改定が進んだエアバッグ用基布事業は収益性が改善した。
ユニチカは、機能資材事業が黒字に浮上し、繊維事業は赤字幅が縮小した。機能資材は、不織布分野で販売が回復すると同時に、価格改定と円安の効果で収益が改善した。繊維事業の衣料繊維分野は、ユニフォーム分野はおおむね堅調だったが、一般衣料、寝装、スポーツ衣料は需要低迷の影響を受けた。