東レのスポーツ・衣料資材事業 スキー、競泳など再強化

2025年02月13日 (木曜日)

 東レのスポーツ・衣料資材事業部は、2025年度(26年3月期)に向けてスキーや競泳などウエアがスポーツギア(用具・用品)の中心となる分野への開発と提案を再強化する。独自技術によって素材のスペックで優位性を実現し、需要の掘り起こしに取り組む。

東レのスポーツ・アウトドア向け生地販売は、輸出をテキスタイル貿易事業部が担っていることから、スポーツ・衣料資材事業部は国内向けと国内アパレルの海外販売向けの生地販売を担当する。24年度はゴルフやアスレチック分野が低調ながら、そのほかは特に夏物向けの機能素材販売が好調に推移した。高級ゾーン向けの販売が拡大したことやインバウンド消費の追い風もあり、売上高・販売量ともに前年度を5~10%上回る勢いで推移している。

 こうした中、25年度に向けては機能で優位性を発揮する商品の提案に一段と力を入れる。これを生かしスキーウエアや競泳水着などウエアがスポーツギアの中心となる分野を再強化する。独自の複合紡糸技術「ナノデザイン」も活用した原糸からの開発に取り組む。

 世界的に有機フッ素化合物(PFAS)規制が強化されていることにも対応し、スキーウエアは非フッ素加工に対応する透湿防水生地「ダーミザクス」の提案を進める。競泳水着も28年の米ロサンゼルス五輪から公認水着に使用できる撥水(はっすい)加工剤が非フッ素化されることから、規制に対応した素材開発・提案に取り組む・

 一方、課題は北陸地域を中心とした国内産地の生産能力に限界があること。このためタイ、インドネシア、中国、ベトナムなど海外拠点での生産を強化する。その上で国内は高付加価値品の生産に特化することで限られた生産能力を有効活用し、規模の維持と内容の高度化を目指す。