繊維ニュース

カケン/海洋生分解性試験を繊維に/25年度中の依頼化計画

2025年02月06日 (木曜日)

 カケンテストセンター(カケン)は、海洋生分解性試験を繊維に適用する準備を進めている。既存の試験規格の基本的なトレースは完了しているとし、今後は長期間試験の実施や課題の抽出に継続して取り組む。2025年度中の試験依頼化と日本バイオプラスチック協会の認証取得を計画している。

 微生物の働きによる分解を評価する生分解性試験は、土壌とコンポスト、活性汚泥、海洋の4種類がある。現在、海洋生分解性試験の適用範囲はプラスチックに限られており、カケンは繊維製品への適用について研究を行っている。このほど東京と大阪で開催した「第16回カケン研究発表会」で説明した。

 カケンの研究では、既存の試験規格であり、海水・砂質堆積物界面が対象環境の「ISO18830」、海水が対象環境の「ISO23977―2」のトレースを実施した。海水または堆積物の中に試験片を入れて生分解させ、BOD(生物化学的酸素要求量)装置で生分解度を算出する。

 標準試料の試験では、分解日数4~10日では生分解度に差があったが、30日では生分解度60~80%の範囲に収まった。染色や繊維径が分解度に影響を与える可能性があるが、ベージュと黒色で大きな差は生じなかった。繊維径での比較では、表面積の大きい細繊度の方が早く分解されることが示唆された。

 既存試験規格のトレースは完了しているが、長期間(6カ月以上)の試験ができていないため「今後実施していく」としている。また、「現時点で繊維を試験する上でコントロールが必要な条件はなかったが、課題抽出を進めつつ、ISO24304に準拠した試験内容を実施していく」と話した。

 今回の研究発表会では「AIによるピリング判定技術の実務化検討」と「人体ダミーを用いた吸水ショーツの吸水性評価方法検討」についても解説した。

 ピリング試験(JIS L 1076A法)の級数判定は人の目で確認して判断しており、効率化が図りにくい、判定結果に差が生じやすいといった課題がある。人工知能(AI)を用いることでピリング判定を機械化し、課題解決につなげる。AI技術を持ち合わせる京都市産業技術研究所と共同で研究を進めている。