創作屋 自社ブランド事業強化
2025年02月06日 (木曜日)
紳士服を中心にアパレル製品の製造を手掛ける創作屋(岡山県総社市)は、OEM事業とともに、自社ブランド事業を強化する。同社の強みとする紳士服の「クラシックなモノ作り」(池田修二郎常務)を反映した自社の2ブランドの販売に注力。
売り上げに占める自社ブランド事業の比率は現状30%ほどで、池田常務は「これをもう少し高めたい」と話す。
同社は紳士・婦人服飾店として1946年に岡山市内で創業。66年に同県倉敷市に工場を設立し、74年には同地に本社機能も移転した。既製服の生産に着手しながら業容を拡大し、「最盛期には本社工場に500人ほどのスタッフがいた」と言う。
ただ、バブル崩壊による市況の低迷などでその後は業績が悪化した。ライセンス展開していた海外ファッションブランドの事業譲渡も実施。同ブランドのOEM生産を受託していたが、ブランドの刷新が行われ、「当社が作るような商品が少なくなった」ことで受注も減少。新型コロナウイルス禍の影響も受け、苦戦が続いていた。
そのような中、以前から相互に工場見学をするなど交流があった学生服メーカー最大手のトンボに相談。昨年、同社に発行済全株式を譲渡し、グループ会社として再出発した。創作屋の前社長だった池田常務は現職に就き、社長にはトンボの藤原竜也社長が就任した。
2021年に移転した総社市の本社工場が現在の生産拠点だ。従業員は販売事業部など含め65人。同社の強みについて、池田常務は「ハンドメードに近いクラシックなモノ作り」と説明する。パターン制作や裁断などでハイテク化を進める一方、組み立てライン以降はハンドメードにこだわる。同社では国内でも少ない、国際衣服デザイナー・エグゼクティブ協会(IACDE)日本支部から三ツ星工場として認定を受ける。
OEMは有力セレクトショップ向けなどが主力だ。OEM生産は「しっかりやっていく」が、受注が少ない時に工場を稼働できるように今後は「自社ブランド事業も強化していく」。
ブランドは「シッスル」と「ソウラボラトリー」の二つを展開する。シッスルは、糸から企画するなど生地にこだわる。シルクやカシミヤなど高級素材を使い、価格はジャケットで15万円ほど。年配層をターゲットに販売を広げる。
ソウラボラトリーは「ヤングエグゼクティブ」をコンセプトに掲げる、クラシックなデザインが特徴のブランド。ジャケットで8万円ほどとなる。このほど、流行を取り入れた「エレガンスライン」も立ち上げた。今後は「卸売りの考え方で世の中に打ち出していく」とする。
トンボグループとなり、閑散期には学生服の縫製も手掛けるようになった。池田常務は「紳士服では近年、プレーンな仕事が少なくなってきた」と指摘。学生服というこれまで手掛けてこなかった仕事を受けるなど「いろいろな経験をさせてもらっている」とし、「良いところを取り入れて成長していきたい」と語る。