特集 25春夏オフィス・サービスウエア(8)/素材メーカー編 上質感と機能の両立/東レ/好評の生地をボーダーレスに

2025年01月31日 (金曜日)

 オフィス、サービスウエア共に接客シーンにおける“見栄え”への関心が高まっている。着用時の快適性を向上させる機能性に加え、素材が醸し出す上質感は差別化を図る上で大切な要素だ。大手合繊メーカーの東レは、必須となったサステイナビリティーの取り組みとともにニーズに応える。

 東レの機能製品事業部は、「ボーダーレス」をキーワードの一つにオフィス・サービスユニフォーム分野で拡販を図る。訪日外国人客(インバウンド)需要による接客・飲食サービス分野は伸びる余地があるとし、軽量感が特徴の「ライトフィックス」を積極投入するほか、生地だけでなく 縫製品までの一貫提案も強化する。

 オフィスウエア分野は、在宅勤務の定着や女性事務服の廃止などの影響で需要は縮小傾向にある。サービスユニフォーム分野は、飲食サービスは成長に鈍化が見られるものの、接客サービスは堅調な動き。機能製品事業部の2024年度(25年3月期)の販売も市場動向に即して推移している。

 25年度も大きな流れは変わらないとするが、そうした状況下でも今年度を上回る販売を目指す。軸となるのがライトフィックスだ。同素材は、オフィス・サービスだけでなく、ワークウエアやメディカルなどの枠を超えて販売が拡大しており、新開発の「ライトフィックスD」を含め多分野で販売拡大を目指す方針だ。

 ライトフィックスは、独自の高捲縮(けんしゅく)糸を使用してストレッチ性を付与した素材。16年に販売を開始したが、軽量感が評価されてこの1~2年で用途が広がりを見せている。同素材の上位ブランドがライトフィックスDで、高い軽量性や物性を付与するなど高度化を実現した。

 中でもインバウンド需要によって継続的な成長が見込める飲食サービスと接客サービス分野に伸び代を求める。飲食サービス分野は、価格要求も強く、素材は国内と海外の垣根なく活用し、グループ会社との連携による縫製品までの一貫生産の提案を加速する。接客サービスは、国内の付加価値素材を訴求する。

 機能製品事業部の販売のうちオフィス・サービス分野はまだ小さく、一層の成長を目指す。