特集 25春夏オフィス・サービスウエア(5)/トップに聞く/KAZENホールディングス/ガードナー/アルトコーポレーション/明石スクールユニフォームカンパニー/ヤギコーポレーション/辰野
2025年01月31日 (金曜日)
〈KAZENホールディングス 経営企画室長 三浦 利幸 氏/サービスウエア好調続く〉
インバウンド消費や外食産業の好調を追い風に、サービスウエアが新型コロナウイルス禍前を超える勢いで回復している。人手不足などの懸念材料はあるものの、ユニフォームの買い増しや、飲食店の新店舗、新業態の拡充につながればさらなる需要増も見込める。
為替相場や原材料費高騰に伴う原価上昇で25春夏では全品番の7~9割を対象に5~10%ほどの値上げを実施する。1ドル=130円前後にまで円高が進めば、事業を取り巻く環境は良くなってくると思うが、こればかりは予測がつかない。現在の為替水準が続いた場合でも対応できる方策を探っていかなければならない。
環境配慮素材の採用や資源循環システムへの取り組みといった点に対するユーザーの要望が増えてきている。サーキュラーエコノミーの実現に向けた対応強化も進めている段階だ。
〈ガードナー 社長 矢澤 崇 氏/半導体業界の回復に期待〉
2024年12月期下半期は、主力クリーンルームウエアの半導体工場向けが同業界の在庫調整の影響を受けたほか、食品、製薬業界向けも案件が進まず前年並みだった。
昨秋出展した九州での半導体産業展は来場者も多く手応えがあった。今上半期は、半導体業界の在庫調整が一巡していることや展示会後のフォロー、リピート案件が見込めることから増収を目指せると考えている。
加工料金の上昇に対応するため、4月からポケット付けや2重袖、ネームなどの加工料金を10%ほど値上げする。今回、本体の値上げは見送った。今後最低賃金が毎年上がっていくことを考えると、改定のタイミングも従来通りにはいかなくなるのではないかと思っている。
夏季の猛暑に備え、クリーンルームウエアでも必要性が高まっている暑熱対策を検討している。
〈アルトコーポレーション 社長 ヒロ瀬 由武 氏/独自性ある製品打ち出す〉
2025年2月期決算の売上高は、大型案件の納品があったことで前期比50%以上大幅増収の20億円の大台に乗る見通しだ。
一方で来期はこの反動対策に重点的に取り組む。最大のポイントはベースとなるカタログ定番品の拡大となる。植物由来素材使用や半導体事業規格に対応した製品などの伸長に期待したい。生地の仕入れ値が上昇していることから今春夏の一部製品で5~10%の値上げを実施する。
製品開発に当たっては、一定の需要が見込める市場の中で、快適性や機能性、デザインで差別化を図っていくことが大事だ。例えば、同じ環境配慮素材を採用した製品であっても、その中で独自性をどう打ち出すかという点を最も重視する。
サーキュラーエコノミー実現に向けては、カイタックグループの「ムダゼロ」プロジェクトに参加し取り組みを始めている。
〈明石スクールユニフォームカンパニー 営業本部 プランニング部長 伊藤 良太 氏/2月に新ブランドお披露目〉
アクティブチャレンジ部の2024年12月期は、前期比5%増の約23億円だった。今期は、暑熱対策商品などニーズに応える開発でさらなる成長を目指す。
メディカル、ケア向けの新ブランド「Lohapi」(ロハピ)を、2月に披露する。女性目線のデザインで、自然から着想した柔らかい色合いを用いて「水がもたらす癒し効果」といった色彩がもたらす心理的効果を狙う。
スポーティーで鮮やかな色合いが特徴の「ルコックスポルティフ」と色やデザインで差別化し、手頃な価格帯に設定することで、新たな客層を開拓する。
スクール営業担当者が病院への営業も担うなど、全社的に攻勢を仕掛ける体制は整いつつある。ルコックスポルティフとロハピの2本柱で、25年12月期売上高は25億円、26年が27億円、27年に30億円を目指す。
〈ヤギコーポレーション 執行役員 岡 克樹 氏/オフィスウエアを強化〉
2024年12月期は、時代に逆行していると映るかもしれないが、あえてオフィスウエアを強化する取り組みを行った。結果、主力のオフィスジャンルは前期比5%程度の増収、次の柱と位置付けているメディカルウエア「ビームスメディカル」ブランドが前期比20%程度の増収となる見通し。
以前はトップダウンが非常に強い会社だったが、昨年、社内体制再構築の一環として、カタログの企画やSNSの運用など、若手社員を中心としたボトムアップによる取り組みを増やした。活気が生まれ、育成にもつながっていると感じている。
オフィスウエアは接客業も含めた働く女性全般をターゲットにレディースウエアという捉え方で提案を強化する。メディカルウエアは、ビームスメディカルが順調に伸びると予想するが、自社ブランド「リゼルヴァ」はやや苦戦しており26年に刷新を予定している。
〈辰野 繊維事業部ユニフォーム営業1部部長 西垣 武志 氏/幅広い領域へ訴求〉
別注の大型モデルチェンジ案件があったことや、消防隊員活動服の受注増などにより当初計画を上回るペースで推移している。このまま進めば繊維事業部の2025年3月期売上高は前期比10%以上も可能とみている。
来期も引き続き大型案件が控えているほか、新規の引き合いも増えており見通しとしては明るい。主力の別注ユニフォームを軸にさらなる拡大を目指す。静電気帯電防止機能を持つ「ESDガーディアンユニフォーム」は既製ウエア領域への新たな挑戦としてサービス分野も含めて幅広く訴求していく。
原材料費の高騰や円安の影響もあり、今月全ての製品を平均値上げ幅10~15%未満で価格改定した。環境配慮素材に関心を示すユーザーが増えており、今展示会では、消防活動服の下などに着用できる特定堆肥生分解繊維を使ったTシャツを参考出展している。