東レ・学販向け 市場に“刺さる”商品を
2025年01月30日 (木曜日)
東レの学販向けは、制服モデルチェンジ(MC)のブレザー化でポリエステル高混率化が進む中、インクジェット(IJ)捺染によるボトムス向けの柄物生地や特徴ある風合い、ストレッチ、高通気といった差別化素材の供給に力を入れている。「市場に“刺さる”商品をしっかり打ち出す」ことで学生服市場でのシェアを広げる。
2025年の入学商戦は、LGBTQ(性的少数者)への配慮から制服MCでブレザー化が進み、依然として詰め襟服の需要が減少傾向にある。同社は詰め襟服向けの生地供給が多いだけに販売拡大で苦戦するが、ポリエステル高混率化の流れを捉え、「着用者が何を求めているかを考えたモノ作り」で市場のニーズを捉える。
特殊ポリエステルによってストレッチ、イージーケアなどの機能性とウールのような風合いを併せ持つポリエステル100%の梳毛調織物「マニフィーレ」はここ数年安定して販売量が増加。まだまだ需要の多い、ポリエステル80%・ウール20%混のような混紡織物についても新たな素材開発や供給の安定に取り組む。同じポリエステルでも風合いや機能による価格帯の違いで「〝松竹梅〟をそろえることが可能」として多彩な素材供給ができる強みを生かす。
IJ捺染による柄物生地では供給のリードタイム短縮やロットの低減、先染めには出せない柄の表現などに優位性があり、販売への準備を進める。着用試験を実施中で、結果を見た上で問題がなければ販売に乗り出す。学生服メーカーでは入学式前の供給を間に合わすため、生産を前倒しており、前年6月ごろに新規MCの受注獲得を打ち切っているが、IJ捺染の生地が浸透してくれば「以前の(受注)形態に戻る可能性もある」。
夏の期間が長くなりつつあることで、短パンやポロシャツ向けの生地供給も増え、暑さ対策への要望が高まっている。原糸や加工技術を駆使して生地に通気孔を発現した「ドットエア」といった高通気の生地では、物性面で改良するなど学販に適した開発を強化。環境配慮設計に対応した商品開発が意識される中、ストレッチ生地「ライトフィックス」などの素材では、モノマテリアル(単一原料)化しやすいといった側面からも訴求する。