南通帝人/地場・欧米スポーツ向け拡大/25年3月期過去最高益へ
2025年01月24日 (金曜日)
【上海支局】ポリエステル長繊維の製織と染色加工を手掛ける南通帝人の2025年3月期業績は、3期連続で前期比増収増益となり、純利益が過去最高を更新する見通しだ。地場スポーツ向けと、欧州ブランドの内販向けが貢献する。商況の厳しさが予想される来期は、独自素材の打ち出しを強め、好調の維持に努める。
24年の市場別売上比率は、中国内販60%、欧米30%、日本10%だった。
主力の内販は、地場スポーツ大手傘下の高級ブランド向けを伸ばした。中でもグループ会社、帝人商事〈上海〉の縫製部隊と連携した「生地から製品一貫の取り組みが好調」(東政宏董事長)だった。同じくこの顧客が運営する、中価格帯ブランド向けの生地販売も順調に推移した。
欧米顧客は、北米ブランド向けが堅調だった。23年に苦戦した欧州ブランドは、回復しつつある。「欧米顧客には環境対応と差別化した素材がピックアップされている」と東董事長は話す。
生産・開発面では、21年に新設した「新規事業開拓室」が進めるプロジェクトが成果を上げた。8葉中空断面ポリエステル繊維「オクタ」使いの中わた製品や、ポリエステル長・短繊維製造販売タイ子会社、テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)の独自糸を使った機能性素材など、幾つかのヒット商品が生まれた。
環境対応にも引き続き注力した。その一つである水使用量削減が認められ、このほど江蘇省生態環境庁から「長江デルタ地域(江蘇省、上海市、浙江省、安徽省)にまたがる環境推進模範活動」を推進する企業に認定された。
24年に顧客が積極的に発注した反動や景気鈍化の影響が表れ、25年の商況は厳しくなる可能性がある。そのため、同社にしか生産できない独自素材の開発と提案を加速し、生産量と利益率の維持に努める。